秋は気温や湿度が変化しやすく、朝晩と日中の寒暖差も大きくなり、風邪などで体調を崩す人が増えてきます。
しかし、なかには「秋の花粉症」が隠れている場合があるといいます。咳やくしゃみ、鼻づまり、目の調子が悪い、肌が荒れるなどに、心当たりはないでしょうか。中には特定の場所へ出かけた後に、調子が悪くなる人もいるようです。
ウェザーニュースでは、「ここ最近、秋の花粉症の症状を感じていますか?」というアンケート調査を実施しました。結果を見ると、全体では「ちょっと感じる」が26%、「けっこう感じる」が14%と、合わせて4割の人が秋の花粉の症状を感じていることが分かりました。
さらに、地域別では関東が「ちょっと感じる」、28%「けっこう感じる」16%で、中部もそれぞれ37%、16%と、他のエリアに比べて、花粉の症状を感じている人が多いようです。
大阪はびきの医療センター耳鼻咽喉科医務局長・主任部長の川島佳代子先生に、秋の花粉症の原因から、今からできる対策まで教えていただきます。
今秋は花粉症が多い!?
今や国民病といわれる花粉症ですが、秋にも悩まされる人が少なくないといいます。
「咳やくしゃみ、鼻詰まり、目のかゆみなどで、病院を受診する患者さんが例年よりも増えています。風邪など別の症状の患者さんとともに、秋の花粉症が疑われる患者さんも多い印象です」(川島先生)
秋の花粉症は春の花粉症とは違うのでしょうか。
「秋の花粉症の主な原因となるのは、イネやブタクサ、ヨモギ、カナムグラ、カモガヤなどの草の花粉です。どれも住宅街や道端、川沿いなどに自生しており、目にすることの多い植物です。
それぞれ、表のような期間に花粉が飛散するとされていますが、今秋は残暑の影響で花粉の飛散時期にずれが生じているのかもしれません。
また、厳しい残暑が終わったかと思えば、急に温度や湿度が低下し、10月は寒暖差の大きい時期でもありました。寒暖差が大きいと、気道の粘膜の不調を招き、花粉症の症状が起こりやすくなるのです。こうした気象条件も患者の増加に影響している可能性があり、秋の花粉症の時期が長引くことも懸念されています」(川島先生)
春の花粉症と何が違う?
春と秋で、花粉症の症状に違いがあるのでしょうか。
「秋の花粉症の症状は、鼻水やくしゃみ、目のかゆみ、肌荒れなど春の花粉症とほぼ同じですが、咳が多いのが特徴です。秋の花粉症の代表的な原因であるブタクサの花粉はスギ花粉などと比べて粒子が小さいため、鼻粘膜でキャッチされずに奥まで届いてしまい、咳や気管支症状を起こすことが多いのです。
また、草の花粉の飛散距離は短いのですが、下から舞い上がるために、子どもなど身長の低い人が影響を受けやすいとされています」(川島先生)
春に花粉症になれば、秋にも花粉症になるのでしょうか。
「スギの花粉症がある人は、その他の花粉症を合併することが多いです。ただ、春に花粉症だったからといって、必ずしも秋の花粉症になるわけではありません。また、春に花粉症でなくても、秋の花粉症を発症する人もいます」(川島先生)
今からできる対策とは
秋の花粉症を防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。
「原因となる花粉に触れないようにすることが基本です。秋の花粉症の原因となる草の花粉は、スギ花粉のように長距離を飛ぶものではなく、飛散距離は数メートル〜数十メートルとされています。ブタクサなどが生えている場所に近寄らないことで、かなり花粉を避けることができます。
通勤・通学や散歩、ジョギングなどのコース上にこれらの草を見かけたなら、道を変えてみるといいでしょう。また、ブタクサなどの花粉の飛散は午前中が多いので、マスクや花粉症用メガネ、帽子などを着用して、花粉に触れないようにします。
帰宅したらうがい、手洗い、衣服についた花粉を払うなど、一般的な花粉症対策も有効です。この時季は一枚羽織ることが多くなりますが、外出時の上着はウールなど花粉のつきやすい素材を避けるのも役立ちます。
花粉症は、風邪と似ていますが治療はまったく異なります。軽い風邪と思っても長引くときは病院を受診しましょう。また、秋の花粉症はひどくなると気管支喘息を引き起こしたり、再発のきっかけとなることもあるので注意が必要です。
症状が辛い時は軽視せずに受診してください。病院では内服薬や点眼薬、点鼻薬などで症状を緩和します」(川島先生)
秋は何かと体調を崩しやすくなりがちです。花粉症にも注意して健康に過ごしていきましょう。
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「秋の花粉症」は咳が多いのが特徴。体調を崩しやすい秋、今からできる対策は?