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ワニが、川に逃げ込んだ犬を襲うことなく助けるかのような行動がインドで観察され、研究者たちを驚かせている。
ワニの観察調査を続けているハザリマル・ソマニ・カレッジのウトカルシュ M. チョーハン氏とカーメル女子芸術科学商業カレッジのマノイ・R. ボーカー氏は8月、国際オープンアクセス学術誌「Journal of Threatened Taxa(絶滅危惧分類群ジャーナル)」に論文を発表。
その中で、マハーラーシュトラ州のサヴィトリ川で野犬の群れに追われ、川に逃げ込んだ1匹の若い犬とヌマワニの行動について報告した。
論文によると、犬が逃げ込んだ浅瀬には3匹のヌマワニがおり、簡単に襲える状態だった。
しかしワニたちは犬に近づいたものの攻撃せず、そのうち2匹が鼻で犬に触れて野犬がいる場所から遠ざけ、安全な岸に上がるよう促したという。
研究者たちは行動の理由はわからないとしつつ「お腹がすいていなかったようだ」と指摘。同時に、ワニが異なる種に「感情的共感」を示す可能性を示唆しているのかもしれないとも推測している。
その一方で、研究者たちはワニが野良犬を食べたケースも2回観察されたと論文で述べている。
論文には、長期的な調査で、ワニたちが協力して魚をとっているかのような行動や、巣づくりに木の枝を使う鳥を引き寄せるために、鼻の上に枝を乗せる行動なども観察されたと書かれている。
「ワニの共感」説に慎重な研究者も
ワニが犬に「感情的に共感したのでは」という推測に、慎重な科学者もいる。
今回の研究に携わっていないカリフォルニア大学ロサンゼルス校の爬虫類生物学者ダンカン・リーチ氏は、「ワニ類は確かに高度な行動パターンを持っている」とライブサイエンスの取材で説明した一方で、共感説について「人間的な視点から解釈で、持ちえない能力を持たせてしまう可能性がある」と述べている。
一方、チョーハン氏らは今回の観察結果について、「ワニは人間が考えてきたよりも賢い可能性があり、認知能力についての研究が必要性だ」と結論づけている。
「動物の認知機能の分野で、爬虫類は過小評価されてきました。これは、彼らの脳の小ささと単純な構造から、不活発で反射的な生き物であるという偏った印象を持たれていたことが原因かもしれません。このような偏見のため、爬虫類の認知能力に関する研究はあまり進んでいません」
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
ワニが川に逃げ込んだ犬を救助?鼻で安全な岸に誘導するかのような行動が観察される