脱炭素に貢献する企業・商品をどう「見える化」するか、そして生活者は「貢献した実感」をどう得るかーー。
そんな難問に取り組むために設立された企業がある。それが「Earth hacks株式会社」だ。
メインサービスは、日々の買い物で、新しい選択基準になる「デカボスコア」を提供すること。
企業は、販売するサービス・製品について、従来品と比較したCO2e(※)の排出削減率を「デカボスコア」として指標化、商品などに表示する。生活者にとっては、購入するかどうかを考える際にその値を参考にできるという仕組みだ。
※CO2eは、CO2相当量に換算した値のこと
気候危機を抑えるため、日本は、2030年度までに温室効果ガス46%削減を目標にしている。政府・企業の取り組みが重要だが、一般の生活者の貢献も欠かせない。
調査では、脱炭素に自分も貢献したいという意識が、特にZ世代など若い人々で高まっていることが明らかに。一方で、「何をすればいいかわからない」という人が多いことが、行動に繋がらない障壁であることもわかった。
そこで、脱炭素へのひとりひとりのアクションを促すため、生活者が貢献の実感を得られるわかりやすい指標として「デカボスコア」が開発されたという。
企業にとっても、スコア表示によって脱炭素を一般の生活者にとって「見える化」することができ、よりモチベーション向上に繋がるという狙いがある。
「Earth hacks」は2021年から博報堂「ミライの事業室」と、三井物産の共創プラットフォームとして運営されてきたが、より取り組みを加速させるため、7月10日に企業として設立された。
発表会で関根澄人代表は「我慢ではなく、無理なく楽しくできる脱炭素にしたいと『デカボ』という名前をつけた。日常生活の中できっかけとして知ってもらえるスコアとしたい」と狙いについて話した。
2022年のイベントで、実証実験としてデカボスコアがありとなしそれぞれのラベルレス飲料を販売した結果、約70%の人が「デカボスコアあり」を選んだという。
「『ちゃんと貢献しているんだね』という納得と共感を生んだ上で買って行っていただいたことが大きな特徴だったと思います」と関根代表は手応えについて話す。
また、発表会では、モデルのトラウデン直美さんが同社の「チーフ・デカボ・オフィサー(CDO)」として任命された。
トラウデンさんは、端材から作られたデカボスコア51%オフのTシャツを着て登壇。「どんどんアイデアを出していきたいです。SDGs、サステナブルは浸透して土台はできている。デカボスコアを通じてたくさんの方に実践の段階に入っていただけたらいいなと思います」と話した。また、デカボスコアに関するアワードを新設するなど、アイデアがたくさんあると熱意をのぞかせた。
デカボスコアは現在70を超える企業にすでに導入されている。
例えばトヨタ自動車は製造工程で発生した、座席シートのレザーや金属部品などの端材を利用したアップサイクル商品としてIDカードホルダーなどにデカボスコアを表示する。
日本航空は、省燃費機材を活用した特別フライトでスコアを表示し、乗客がデカボスコアと記念撮影ができるボードも用意した。
UCCグループの上島珈琲店では、タンブラー利用で割引のサービスを実施しているが、それがどれだけ効果があるのかをデカボスコアとしてわかりやすく掲示、期間限定キャンペーンとも連動させた。
7月からは新たに味の素、大日本印刷、ヤフーとの取り組みを順次スタートさせるという。
味の素は、フードロス削減の実践喚起を目的とした専用サイトの40レシピでデカボスコアを導入。大日本印刷は、すでに実施している環境負荷の低減を狙う製品・サービスである「GREEN PACKAGING(グリーン パッケージング)」を通じて、CO2排出量の算定やデカボスコア表示の促進、生活者向けイベントへの協力などで協働するという。
また、ヤフーはYahoo!ショッピング内に新たに「Earth hacksモール」を出店。生活者が楽しみながら購入できる仕掛けをするという。また、再配達削減による脱炭素や環境貢献の施策も継続していく。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「脱炭素」を、ひとりひとりの手に。「デカボスコア」普及加速目指す企業が立ち上がった。