国際刑事裁判所(ICC)は11月21日、イスラエルのネタニヤフ首相ら3人に、戦争犯罪や人道に対する犯罪の疑いで逮捕状を発行したことを明らかにした。
ICCは、人道に対する罪、戦争犯罪、ジェノサイド、侵略の罪を犯した疑いのある個人を捜査し、訴追する役割を担う。日本を含む124の国・地域が加盟している。
ICCは、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相、イスラム組織ハマスの軍事部門のトップであるデイフ氏に逮捕状を出した。ネタニヤフ氏らはICCの加盟国を訪問した場合、拘束される可能性がある。イスラエルやアメリカは加盟していない。
ICCは2023年3月、戦争犯罪の疑いでロシアのプーチン大統領に対しても逮捕状を発行している。ネタニヤフ氏とガラント氏に対する逮捕状は、民主主義国家、特に西側諸国と協調する国家の指導者がICCによって訴追される初めてのケースとなる。
ネタニヤフ首相側は声明で、ICCの決定が「反ユダヤ主義的」だと主張。「イスラエルは、偏見と差別のある政治団体であるICCの、虚偽かつ不条理な告発を全面的に拒否する」としている。
ICCの決定を、各国はどう受け止めたのか。
ロイター通信によると、オランダ、スイス、アイルランド、イタリア、スペインはいずれも、ICCに関するローマ規程と国際法における責任と義務を果たすとの姿勢を明らかにした。オランダのフェルトカンプ外相は「ICCの独立性を尊重する」として、逮捕状に基づき行動する方針を示した。
カナダのトルドー首相は記者団に対し、「我々は国際法を支持し、国際裁判所の全ての規則と決定に従う。それこそカナダ人として私たちのあるべき姿だ」と述べた。
イギリスのスターマー首相の報道官は「イギリスは、国際的に最も重大な犯罪を捜査し、訴追する主要な国際機関であるICCの独立性を尊重する」と発言。ただ、ネタニヤフ首相が同国を訪問した場合に逮捕するかを尋ねる質問に対し、報道官は「仮定の話には立ち入らない」として立場を明らかにしなかった。
一方、ICCに加盟していないアメリカの国家安全保障会議の報道官は、ICCの決定を「根本的に拒絶する」と表明。「我々は、検察官が逮捕状を急いで請求したことや、今回の決定につながった問題のある手続き上の誤りを深く懸念している」と述べた。
日本では林芳正官房長官が11月22日の記者会見で、「我が国としては、パレスチナ情勢にいかなる影響を与えるかという観点も含め、捜査の進展を重大な関心を持って引き続き注視する」と述べるにとどめた。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
ネタニヤフ首相に逮捕状、各国の反応は。加トルドー首相「国際法を支持し、ICCの決定に従う」
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