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AI(人工知能)が急速に進化する中、テクノロジーの発展や、それが自分の仕事に及ぼす影響について不安を感じている人は少なくない。
経済プラットフォームForbes Advisorの世論調査によると、企業全般が生産性の向上を目指す中、今後1年間にAIによって雇用が失われると懸念しているアメリカ人は77%にも上った。
まだ職場にAIが導入されていなくても、その成長の速さに不安を感じている人もおり、それは当然のことだ。
AIは、知覚、推論、学習、問題解決などの人間の機能を、人間の頭脳を使わずに模倣することができる。AIの法的・倫理的問題としては、プライバシー、監視、偏見や差別、そして仕事の自動化が挙げられる。
米大手金融グループ、ゴールドマン・サックスは、3億以上の仕事がAIによって置き換えられる、もしくは3分の2以上の役割が部分的に置き換えられると報告している。
「つまりAIは、その技術が『機会』となるか『脅威』となるかにより、心理的に影響を及ぼす可能性があることを意味するのです」とセントラルフロリダ大学心理学科のミンディ・ショス教授はハフポストに語る。
その結果、仕事を失うことへの不安は極めてストレスフルな体験となりうる。
「仕事は私たちの人生における意味、社会的な繋がり、アイデンティティや安定性を与えてくれます。雇用不安は、いつ仕事を失うか分からないため対処が難しく、常に一定の警戒や不安状態に陥る可能性があります」とショス教授は語る。
アメリカの成人の約半数が、AIの導入に不安と興奮の両方を感じている中、不安を少しでも和らげる方法を、心理学者たちに聞いた。
常に情報をアップデートしておく
AIの急速な進歩についていくのは難しいかもしれない。
しかし、Institute for Health Equity and Innovationの臨床心理士マリア・エスピノーラ氏は、パフォーマンスを向上させるためにAIを活用することは役に立つかもしれない、と語る。
「教育は力です。AIについてより多くの情報を得ることで、職場での未来に備えることができます。実際に、AIは成長し続けるので、ストレスをエネルギーに変えて行動をおこし、AIについてできる限り学ぶ必要があります」
AIを学ぶことで、役割がシフトしたり新たな機会が生まれるなど、プラスになることもあるかもしれない。また、AIにより仕事を失う懸念に反し、世界経済フォーラムによると、AI導入により9700万の新たな仕事が生まれるという。
また、自分の特定の職務には全く関係ないかもしれない。
「一部では、AIが当初思われていたほど自分の分野では役立たないと気付く人もいます」とエスピノーラ氏は話す。「いずれにせよ、AIを活用することの長所と短所を学ぶことで、自身のキャリアと会社の両方にプラスになる決断を下せることができるようになります」
新しいことを学ぶキッカケにする
エスピノーラ氏は、健康的な量のストレスは職場において有益だと話す。
「ある程度のストレスは、変化を起こすために必要なエネルギーやモチベーションを与えてくれるため、プラスになり得ます」
例えば、現職のためでもそれ以外のためでも、新しいスキルを身につけようという気にさせてくれるかもしれない。
もちろん、現実はトレーニングを受けるための資金不足や、家族関連の責任、障害などがあり、口で言うほど簡単ではない。
「だからこそ、個人だけに責任を押し付けてはいけないのです。雇用者が不安に対処するためのメンタルヘルスケアと、職場で働き続けるためのトレーニングを受けられるような制度を、国や企業が策定するべきです」
AIにも限界があると認識する
AI技術が発展している反面、機械やシステムが人間の創造性を模倣できるかについては、まだ疑問が残る。
コンピューター科学者でInstitute of Softwareの教授であるフイミン・リン氏はAI生成画像について「コンピューターは人間が指示したことしかできません。早くて正確ですが、創造や抽象化する能力は持っていません」と述べる。
例えば、AIは質問に答えたり問題を解決したりすることはできても、感情を伝えたり共感を活用したり、オリジナルのコンテンツを作成したりする力はない。代わりに、AIは人間の創造性に頼っている。
南京大学コンピューターソフトウェア新技術国家重点実験室のZhi-Hua Zhou氏は、コンピューターが生成したイメージの分析において、「コンピューター科学者がAIを開発する目的は、人間のような生物を作ることではなく、従順で人間を助ける知的なツールを作ることです」と述べている。
AIの創造性の限界を認識する他に、自分のスキルに対する肯定感を持つことも不安の解消に役立つ。
「重要な価値観や個人的な特徴を振り返り肯定する機会を設けることは、人を仕事に関する不確実性に対処しやすくする、といくつかの研究で明らかになっています」とショス氏は話す。
管理職に就いているなら、AIの倫理的な利用を提唱する
倫理的なAIとは、個人の権利やプライバシーを守り、差別や改ざんをしないなど、技術を利用する際に従うべきガイドラインのことを指す。
アメリカ・ニューヨーク市は2021年、雇用者や機関が選考過程などでAIに基づいて雇用判断を行うことを阻止する法律を成立させた。さらにホワイトハウスは、AIのシステムが既存の法制度に違反しないよう、アルゴリズムによる差別に対する保護方針を発表した。
AIが社会に及ぼすリスクの軽減を目指す団体Center for AI Safety(CAIS)は「AIによる絶滅のリスクを軽減することは、パンデミックや核戦争といった他の社会的規模のリスクと並び、世界的な優先事項であるべきだ」と声明で述べており、多くのAI科学者や著名人による署名が添えられている。
企業はAI技術が職場の不平等を深める可能性があることを認識し、技術へのアクセスを平等に分配することが重要だ。上司は倫理的な導入と、誤った使用によって発生する可能性のある問題に対処する必要がある。
国連教育科学文化機関(UNESCO)は、企業でのAIやAIシステムの選択について、完全な透明性を持って議論することを推奨している。職場でAIを規制する法律などはないものの、組織は懸念に耳を傾け、最新情報を提供し、従業員がAIに関する新たな開発や決定に参加することはできる。
ショス氏は、「従業員の解雇に関する研究に参加したことがありますが、上司が積極的に傾聴することが、従業員が状況をより把握し、雇用への不安が軽減するということが分かりました」と述べた。また他の研究でも同様に、組織的なコミュニケーションや意思決定に参加する機会が、従業員の不確実性への対処に役立つことが分かったという。
雇用者であれば、同僚やリソースグループと交流を
AIが職場で導入され始めたり、すでに活用されたりしている場合、同僚に声をかけることは、動向を知るための最初のステップになる。
「自分のことだけを主張するのではなく、他の同僚を見て、AIにどのような影響を受けているか考えてみてください」とエスピノーラ氏は述べる。「そして、彼らがそれに対して何か行動を起こしているかよく見てください」
AIが職場にどう影響しているかにもよるが、今後の変化や期待されること、自分に何ができるかといった話し合いに参加しよう。また、支援活動の経験がある専門組織や雇用者のリソースグループなどに相談することもできる。
「例えば、従業員らがメンタルヘルスケアや職場で働き続けるための平等なトレーニングが受けられるようにするための政策や制度を支持することもできます」
自分がコントロールできることに集中する
一般的に、不安な時期に自分をケアすることは重要だ。
今やっている仕事やAIに関する新たな進展の把握、ポジティブな生活習慣でメンタルヘルスを大切にするなど、今自分がコントロールできることに集中しよう。
そして最後に、これは今のあなたの人生のほんの一部だということを忘れないでほしい。
「私たちの価値は、どんな仕事や人生の一側面よりも大きいものです」とショス氏は語る。「人生で自分にとって最も重要なもの(例:家族、創造性、ユーモア)や、それらの重要性を特に感じた経験などを振り返ることは、気持ちを落ち着かせてくれるでしょう」
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
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