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「日本では、在留資格のない移民をさして『不法滞在者』や『不法残留者』という表現がよく使われる」
「正規の在留資格をもたずに日本に滞在するのは行政法の範疇に属する『違反』で、それを理由に『不法』とするのは不正確」
在留資格のない外国人を呼ぶ表現をめぐり、NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)は6月14日までに「『非正規滞在』などと表現するのが国際標準」だと解説するパンフレットを制作し、発表した。
移住連によると、海外では「非正規」(irregular)や「無登録」(undocumented)といった表現を使うのが一般的。
1975年の国連総会が、「国連機関および関連専門機関に対し、 すべての公的文書において『無登録の』あるいは『非正規の』移住労働者という用語を使うよう要請する」と決議したことを踏まえているという。
アメリカは「無登録移民」という呼び方を使っている。カナダでは、アメリカから越境入国して難民申請する人を「非正規入国者」としている。
AP通信社などの海外メディアは、2013年から「不法移民」という言葉の使用を禁止している。「行動ではなく人物に対して、一律に『不法』というレッテルを貼るのは正確さに欠けるという判断」に基づいているという。
一方、ハフポスト日本版が調べたところ、日本で6月14日に配信された国内の大手メディアのニュースでは、「不法滞在」という表現を使っている例が複数確認された。
たとえば、NHKニュースは同日配信の記事で、「金沢市内で不法滞在のベトナム人ら30人余を摘発」などと報じている。
在留資格がないことは、犯罪ではない
移住連は「正規の在留資格をもっていないことは、行政法の範疇に属する『違反』にすぎない」と説明。「人間を傷つけたり財産を奪ったりするような『犯罪』ではない」とした上で、「正規の在留資格をもっていないという理由で『不法』と呼ぶのは不正確」と強調した。
「不法滞在者」や「不法移民」という呼び方は不正確なだけでなく、「彼らが生活者としてこの社会に暮らしている事実を見えなくし、彼らの尊厳を奪う点で有害」との認識を示した。
その上で、「特定の移民・難民を『不法』とみなす認識は、外見や民族、宗教などが異なる人にたいする不信感や差別意識を助長し、人種差別や排外主義、ヘイトクライムを引き起こしたり、社会の分断を深める危険もある」と警鐘を鳴らした。
「在留資格をもたない人に、非常にネガティブなイメージのある『不法』というレッテルを貼ることは、彼らを脆弱な位置に追いやり、搾取や虐待、人身売買など不当な扱いにさらす危険もある」
移住連によると、在留資格を持たない人の中には、
▽正規に日本で暮らしていたものの、何らかの理由で在留資格の更新や変更が認められず、在留資格を失った人
▽出身国や出身社会で迫害にあっても難民として認められず、在留資格を失った人
▽難民認定の審査に時間がかかり、何年も結果を待っている難民申請者
▽在留資格のない両親のもとで生まれた子ども
▽多大な借金をして来日し、搾取やハラスメントなどの人権侵害にあい、職場から逃げた技能実習生
ーーなどが含まれるという。
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉
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