ところで皆さんは、日本茶をおいしく淹れるには、どんな水が適しているかご存知でしょうか。新茶の季節に先立ち、お茶と水の関係を、株式会社宇治田原製茶場の日本茶インストラクター、杉村典治さんに伺いました。
お茶にとっての水の存在とは
もっとも理想的な水は、ミネラルウォーターです。ただし、カルシウムなどが含まれているミネラルウォーターもあるので、表示をチェックして、そうではないものを選んでください」(杉村さん)
お茶を淹れるのに適した水
水道水でもOKなのでしょうか。
「水道水には、カルキが含まれています。カルキとは、消毒するための塩素や石灰などの化学物質です。
水道水でお茶を淹れるときは、カルキ臭を抜くために、一度沸騰させてから使ってください。沸騰させると水(H2O)を構成する水素と酸素の結合が切れて分子が小さくなるため、茶葉に水が浸透しやすくなるというメリットもあります。
ただし、長く沸騰させるとお茶の深みを引き出す炭酸ガスが減少してしまうので、3分間ほどでいいでしょう。
水には、溶けているカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量が60mg/L以下の「軟水」と、120mg/L以上の「硬水」があります。日本の水の多くは軟水で、ヨーロッパの水の多くは硬水です。
お茶を淹れるのに適しているのは軟水です。中でも硬度30~80mg/Lの水で淹れたお茶が、もっとも味や香りが良いといわれています」(杉村さん)
東京都水道局で測定している蛇口での硬度の平均値は60mg/L程度なので、カルキ臭を抜けば水道水はお茶を淹れるのに適した硬度といえるようです。
お茶を淹れるのに適した水の温度は
お茶を淹れるときの水の温度は、何度くらいがいいのでしょうか。
「お茶は、注ぐお湯の温度によって引き出せる味わいが異なります。
温度が高いほどカフェインとカテキンが抽出されやすくなり、キリッとした苦みと渋みがよく出ます。一方、温度が低いとテアニンやアミノ酸類の甘みや旨みがよく出ます。
実は、高い温度ではすべての味の成分が抽出されるのですが、カフェインやカテキンは味がきつく、テアニンやアミノ酸類は味が薄いため、高い温度ではカフェインやカテキンの味に隠れてしまって、甘みや旨みを感じにくいのです。
こうしたことから、お茶を淹れるのに最適な水の温度は、70~80度(横に揺らすと湯気が上がる程度)になります。ただし、これは煎茶の温度です。玉露の場合は、50~60度のお湯を急須に注ぎ、2分間待って茶碗に注いでください」(杉村さん)
お茶を淹れる際は、茶葉だけでなく、使う水の種類と温度にもこだわってみるのはいかがでしょうか。
参考資料など
【関連記事】
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
知ってる?水道水で美味しくお茶を淹れる方法。沸騰させる最適な時間は○分だった