東京都足立区の東武スカイツリーライン西新井駅で5月8日、コーヒー缶が突然爆発し、周囲にいた人たちがけがを負う事件があった。
直前にコーヒー缶を置いたとして警視庁に事情を聞かれている男性は、「職場から洗剤を入れて持ち帰った」と話しており、同庁も缶に入れた洗剤が原因とみている。
なぜ、洗剤が原因で缶が爆発してしまうのか。実は、同じような事案は過去にも起きている。
危険性がわかる実験映像とともに、“絶対にしてはいけない”ポイントをまとめた。
毎日新聞によると、西新井駅の事件で事情を聞かれているのは、中国籍の男性(49)。
コーヒー缶を駅の券売機近くに置いたとされ、警視庁の任意の調べに「職場から洗剤を入れて持ち帰った。人を傷つける意図はなかった」と説明している。
缶の中身は強アルカリ性洗剤とみられ、20歳代の女性客と女性駅員が顔や手などにやけどのようなけがを負った。
同庁は、缶に洗剤を入れていたことが爆発の原因とみているという。
では、なぜ缶に洗剤を入れると爆発してしまうのか。
東京消防庁によると、アルミ缶など金属製の容器に洗剤を入れると、化学反応を起こして容器が爆発する可能性がある。
具体的には、アルカリ性洗剤に含まれる水酸化ナトリウムがアルミニウムを溶解し、水素を発生させる。
ふたが密封されていると、水素が缶の中にたまって内圧が高まり、爆発を引き起こす。
洗剤が入ったアルミ缶が爆発した事案は、過去にも発生している。
日経新聞や東京消防庁によると、2012年10月午前0時過ぎ、東京メトロ丸の内線本郷三丁目駅に停車中の電車内で、女性が持っていたコーヒー缶(アルミニウム製)が爆発した。
コーヒー缶には強アルカリ性の業務用洗剤が入っており、複数の乗客がけがをした。
女性は勤務先の飲食店で使っていた業務用洗剤をアルミ缶に移し替えて持って帰る途中だったという。
このほか、東京消防庁には次のような事案が報告されている。
【事案1】
女性(58)が買い物でレジに並んでいたところ、近くの女性客が持っていた紙袋が爆発した。
爆発したのは洗剤入りのアルミ缶で、女性は飛び散った洗剤が目に入って軽傷を負った。
【事案2】
飲食店で清掃が行われていた際、飲み残しのジュース缶(アルミニウム製)に清掃で使用していたアルカリ性洗剤がたまたま入ってしまった。
ジュース缶のふたを閉めて屋外に捨てたところ、突然爆発。近くを通りかかった母親(36)と息子(7)に洗剤がかかり、親子はやけどの軽傷を負った。
また、東京消防庁は過去に、アルミ缶にアルカリ性洗剤を移し替えた時の危険性を調べる実験も行っている。
実験では、ふたなしのアルミニウム製の容器にアルカリ製洗剤100ミリリットル入れて放置。
すると、化学反応でアルミニウムが溶解し、容器側面にひび割れが生じたほか、約6時間後に容器に穴があき、洗剤が漏れ出したという。
映像を見ると、ブクブクと白い泡が大きくなっていき、缶から液体があふれ出し、缶にあいた穴からも勢いよく液体が漏れ出ている様子がわかる。
もし、缶のふたがしまっていたら、大きく爆発していた可能性がある。
そもそも洗剤は、変質や容器の腐食がないように、専用の容器に入れられて販売されている。
このため、小分けや保管のために専用容器以外に移し替えることは危険だ。
東京消防庁は、洗剤が入った上で密封されているアルミ缶は爆発する危険性があるほか、密封されていなくても容器が溶解して洗剤が漏れ出る可能性があると指摘。
その上で、次の3点に注意するよう呼びかけた。
①洗剤を別の容器に移し替えない
②有毒ガスが発生するため、種類の違う洗剤を一緒に使わない
③使う前に容器に書かれている注意事項を確認する
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駅でコーヒー缶が「爆発」。原因は洗剤?実験でわかった“絶対にしてはいけない”こと【動画あり】