トイレ使用制限、適法見直しの可能性
戸籍上は男性だが性同一性障害で女性として生活する経済産業省の50代職員が勤務先の庁舎で女性用トイレの利用を制限しないよう国に求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(今崎幸彦裁判長)は25日、6月16日に弁論を開くと決めた。「処遇は不合理とは言えない」とし、原告の逆転敗訴とした2審東京高裁判決の判断が見直される可能性がある。
性的少数者の職場環境に関する訴訟で最高裁が判断するのは初めて。
1、2審判決によると、職員は専門医から性同一性障害と診断され、女性として生活。健康上の理由で性別適合手術は受けていない。平成22年に同僚への説明を経て女性の身なりで勤務を始めたが、経産省は勤務するフロアとその上下階にある女性トイレの利用を認めなかった。職員はトイレの使用制限などをなくすよう人事院に求めたが認められず、27年に提訴した。
令和元年12月の1審東京地裁は、自認する性別に即した生活することは重要な法的利益で「制約は正当化できない」と判断。トイレを使う他の女性職員への配慮は必要だが、原告が性的な危害を加える可能性は低いとして使用制限は違法だとし、国に慰謝料など132万円の支払いを命じた。
これに対し、3年5月の2審判決は「(経産省は)他の職員が持つ性的羞恥心や不安も考慮し、全職員にとって適切な職場環境を構築する責任を負っていた」と指摘。処遇は対話や調整を通じて決められ、原告も納得して受け入れており使用制限は適法だとした上で、面談時の上司の不適切な発言のみを違法とし、11万円の支払いを命じた。
原告側が判決を不服として上告していた。
弁論では、経産省がトイレの使用制限を行ったことを、人事院が「問題ない」とした判断が対象となる。
https://www.sankei.com/article/20230425-V2D7QPZ4NNN3HBEHCD5TGCE45Q/
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