スペインのラ・リーガにおける退場者の多さが話題になっています。移籍情報サイト「Transfermarkt(トランスファーマルクト)」によれば、第29節を終えた時点でのレッドカード提示数は115枚にものぼります。これはイングランドのプレミアリーグ(31節時点)における28枚の約4倍! なぜ、こんなにも差がつくほど退場者が続出しているのか。スペイン国内での声を基に、その背景を解説します。
目次
- 1. ヨーロッパ5大リーグの退場者数を比較
- 2. スペイン国内で挙げられている原因
- 2.1. 伝統的な審判批判の文化
- 2.2. 審判を騙す風潮がある
- 2.3. 怪我防止のための厳格化
- 3. 審判団の見解は?
- 4. 最も退場者を出しているクラブは?
- 4.1. 久保建英選手の退場数は?
ヨーロッパ5大リーグの退場者数を比較
ラ・リーガの29節時点でのレッドカード提示数はヨーロッパの主要5大リーグ最多の数字です。
「Transfermarkt(トランスファーマルクト)」によるヨーロッパ主要5大リーグのレッドカード提示数は以下のとおり。
スペイン、ラ・リーガ(29節時点) 115枚
フランス、リーグ1(31節時点) 86枚
イタリア、セリエA(30節時点) 51枚
ドイツ、ブンデスリーガ(28節時点) 35枚
イングランド、プレミアリーグ(31節時点) 28枚
リーグごとにチーム数と消化試合数は異なり、さらに未開催の試合もありますから均一のデータではありませんが、それにしてもラ・リーガの異常なほどの多さが見て取れます。
スペイン国内で挙げられている原因
スペインでは国民の生活とサッカーが密接に関わっています。街のいたるところにサッカーを観ながらビールを楽しむバルがあり、テレビでは毎日のようにサッカーの試合や特集番組が放送されているんです。クラブチームもプロアマ問わず多数存在します。そうした環境だからこそ選手の技術が磨かれ、サポーターの目が肥えるのでしょう。
そんなサッカー文化が発達するスペイン国内でもラ・リーガの退場者の多さは問題視され、様々な議論が巻き起こっています。スペイン国内で挙げられている原因のうち、特に大きな影響を与えているのが以下の3つです。
伝統的な審判批判の文化
スペインでは審判に対するリスペクトがやや希薄だと言われています。審判は1つのジャッジでブーイングの標的にされ、罵詈雑言を浴びることも日常茶飯事。ミスジャッジをした試合後にはSNSなどを通じてサポーターから心ない言葉が向けられますし、監督やクラブスタッフが名指しで批判する場面もしばしば。スペイン国民からすれば、これは普通の感覚で、プロに限らずユース年代の試合でも親が審判に文句をつける場面が見受けられます。
そうした伝統的な審判批判の姿勢が、今年は特に顕著。「周りの人が言っているから自分も言っていいだろう」という形でどんどん広がっているのでしょう。そうした重圧の中で審判が冷静に試合をコントロールするのは当然非常に困難で、厳しいジャッジが増えたのは致し方ないことかもしれません。
審判を騙す風潮がある
接触プレーのあとに、選手が過剰に痛がり審判の目を欺く行為がたびたび見られます。これはスペインに限った話ではないですが、ラ・リーガの選手はより大袈裟なアクションをする傾向にあるようです。
VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の導入により、わざと倒れ込む「ダイブ」は減ってはいるものの、それでも今年は目や鼻を手で覆って審判にアピールする様子が散見。その演技を鵜呑みにしてしまうだけではなく、そうした行為自体が反スポーツ的行為として警告につながるケースも増えているのは間違いありません。
怪我防止のための厳格化
昨季は接触プレーに寛容だったせいで、怪我につながるファウルが増加したというデータがあります。そのため今季は開幕前から審判団には厳しいレフェリングをするよう通達されました。昨季はイエローカードで済んでいたファウルでも、今季はレッドカードの対象になっているのです。審判の目的の1つは選手の怪我の防止ですから、レッドカードで抑止しようという考えは分からなくはありませんね。
審判団の見解は?
スペインメディア「Besoccer」の調べによれば、ラ・リーガはヨーロッパで最も負傷者が少ないリーグとのこと。ラ・リーガの28節時点での負傷者は345人。一方で、プレミアリーグは581人で、ブンデスリーガが615人です。これについてラ・リーガのルイス・メディナ・カンタレホ審判部長は「我々の信念が再確認できた。我々の義務のひとつは、チームの資産である選手を守ること。たとえクラブが損害を受けたと感じたとしても、そこは変わりません」と語っています。
侮辱行為や抗議が多いのは事実で、審判もそれを受けて感情的になることがあるのは否めませんが、怪我防止という面では一定の効果が出ているようです。
最も退場者を出しているクラブは?
ちなみに20チームが所属するラ・リーガにおいて最も退場者を出しているのは、レアル・ベティスとエルチェCFで、ともに12人ずつ。2月25日に行われた両者の対決(第23節)では、なんとエルチェ側の選手が3人退場するなど、荒れ模様の試合となってしまいました。
一方で最も退場者が少ないのは銀河系軍団として知られる強豪レアル・マドリードです。2022年10月のジローナ戦で終了間際に相手を倒したトニ・クロースが2枚目の警告を受けて退場したのみで、それ以外は1人も退場者は出ていません。
久保建英選手の退場数は?
また日本代表MF久保建英選手が所属するレアル・ソシエダは、今季ここまで退場者を2人しか出していないうえに、4位と健闘が光ります。
そのなかで久保選手は26試合に出場し、6得点・5アシスト。退場は一度もなく、警告は2回のみとクリーンなプレーを続けています。
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【海外サッカー】ラ・リーガの退場者数がヤバい!! なんとプレミアの4倍!?