ツツジとサツキはどうやって見分けたらいいのか、またそれぞれの特徴などについて、公益財団法人日本花の会研究員の小山徹(こやま・とおる)さんに伺いました。
ツツジは日本の野生種をもとに品種改良
「ツツジはツツジ科ツツジ属の植物で、樹高50cm~2mの『低木』です。耐寒性と耐暑性はともに強く、4月から5月中旬にかけて開花します。
原産地は日本・中国を中心としたアジア東部ですが、現在流通・栽培されているツツジは、日本で自生する野生種をもとに品種改良されたものです。ツツジは育てやすく、初めての方でも鉢植えや自宅のお庭でも楽しむことができます」(小山さん)
サツキもツツジ科ツツジ属
「サツキもツツジと同じツツジ科ツツジ属の植物で、樹高50cm~1.5mの『低木』です。耐寒性・耐暑性ともに強く、5月下旬~6月上旬にかけて開花します。
原産地は日本で、江戸時代中期に起こった園芸ブームの際、多くの品種が作られました。関東地方以西の本州のほか、鹿児島県の屋久島にも隔離分布しています。日本の気候に合うため非常に育てやすく、花の美しさを楽しむことができます」(小山さん)
ツツジとサツキの見分け方
「ツツジとサツキはどちらも花が非常に良く似ていることから、間違えてしまうことも多い植物です。一般的な見分ける方法をお伝えします。ただし、品種によっては相違がない場合もありますので、注意してください。
まず、花の違いから見ていきましょう。大きさはツツジが6cmくらい、サツキは4cmくらいとやや小さめです。おしべの数はツツジが5本以上に対し、サツキは5本です。花の咲き方は、ツツジが一斉に咲くのに対し、サツキは“パラパラ”と咲きます。
葉の違いで見ると、大きさはツツジが4~5cmくらい、サツキが2~2.5cmくらいです。ツツジは表面に柔らかい毛があり、サツキはつやつやしています。
開花期はツツジが4~5月頃で、新しい葉が出てから花が咲きます。サツキはやや遅い5~6月頃で、新しい葉が出る前に花が咲きます」(小山さん)
ツツジには毒がある品種も?
「ツツジは花が筒状になって、連なり続いて咲くことから『つつじ』となったという説があります。
漢字では躑躅、杜鵑花、映山紅、管士の文字が当てられ、すべて『つつじ』と読みます。躑躅については『ちょうちゃく』と読み、(ヒツジたちが)『躑』とお(る)、『躅』ふ(む)の意味です。日本語の躊躇(ちゅうちょ)と同じで、立ち止まる、ためらうなどの意味が含まれています。
実は、レンゲツツジという品種は根に有害物質を含んでいます。ヒツジがためらい立ち止まるのはそのためです。昔の人は植物の特性をよく捉えて、この漢字を当てたと思います。ビックリですね。
レンゲツツジは耐寒性が強く、自身を守る毒のおかげで高地などに大群落が形成されることもあります。そのため、開花期に“わーっと”広がる景観に驚くかもしれません」(小山さん)
ツツジとサツキの花の美しさを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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知ってる?ツツジとサツキの見分け方。毒がある品種も