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16世紀のミケランジェロの「ダビデ像」を収蔵するイタリア・フィレンツェのアカデミア美術館が、同作品を「ポルノ」と呼んだ親たちなどに、実際に館に来て作品を見て欲しいと呼びかけた。
ダビデ像が問題になったのは、アメリカ・フロリダ州のタラハシー・クラシカル・スクールだ。
この学校では3月、6年生の児童にダビデ像を見せた校長のホープ・カラスキージャ氏が理事会の圧力により辞任を余儀なくされた。
アカデミア美術館のセシリエ・ホルベア館長は「ダビデ像をポルノと考えるのは、聖書の内容や西洋文化、ルネッサンス美術に対する理解が全くないということです」とAP通信にコメント。
タラハシー・クラシカル・スクールの校長や理事会、親、生徒たちを美術館に招待したいと表明した。
市長も「アートとポルノの混同は馬鹿げている」
タラハシー・クラシカル・スクールには、“物議を醸す”ようなことを教え得る時には、親たちに事前に伝えるという規則がある。
カラスキージャ氏によると、伝達ミスが生じて6年生の保護者に手紙が届かず、これに対して3人の親が苦情を申し立てたという。
そのうち2人は事前に知らされていなかったことを問題にし、残り1人が作品「ポルノ」と批判した。
ダビデ像は、ミケランジェロが1501年から1504年にかけて制作した作品で、旧約聖書にでてくるダビデ王の裸体の彫刻だ。
ルネサンス芸術の傑作の1つであるこの作品をポルノ扱いすることに、強い違和感を感じたのたのはアカデミア美術館の館長だけではない。
フィレンツェのダリオ・ナルデッラ市長はTwitterで、「フロリダの教師が、ミケランジェロのダビデ像を生徒に見せて辞任を余儀なくされました。アートとポルノと混同するのは馬鹿げています」と述べ、カラスキージャ氏を個人的にフィレンツェに招待したいと述べた。
また、芸術に関する研究機関、アメリカンアカデミー・ローマ校のマリア・ストーン氏は「これは、体やセクシュアリティ、ジェンダー表現に対する撲滅運動であり、歴史に対する無知です」とAP通信に述べている。
「この出来事は恐怖心からきている。美しさや違い、アートに込められた可能性可能性に対する恐怖です」
タラハシー・クラシカル・スクールは公立のチャータースクールで、地元学区から独立した運営をしている。
AP通信によると、カリキュラムはミシガン州の保守的なキリスト教系大学・ヒルズデールカレッジによって作られており、「ゲイと言ってはいけない」法案に署名したロン・デサンティス州知事が度々相談に応じている。
また、タラハシー・クラシカル・スクールのバーニー・ビショップ理事長は「子どもたちに物議を醸すような話題や写真を教える時は、親たちは知らされる権利がある」と、Slateのインタビューで述べている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
ダビデ像の“ポルノ”扱いは「歴史に対する無知」。批判した親を美術館が招待