春を象徴する花といえば、やはり桜が欠かせません。
ウェザーニュースの最新の桜開花予想(3月8日発表)では、3月15日に東京からソメイヨシノの開花が始まり、2020年と2021年の最早記録(3月14日)に並ぶような早さとなる見込みです。
この桜ですが、同じく春に咲く花の代表である梅、桃との共通点が多く「違いがよくわからない」という人も少なくありません。
そこで、桜との相違点と見分け方をまとめました。
梅は500種以上あり1か月ほど開花時期がずれる
まず、桜、梅、桃の開花時期と見分け方について、季節の花々などの通信販売や輸出入業を行う千趣会イイハナ(東京都品川区)にお尋ねしました。
「ここ数年は、寒暖差や気候変動の影響で、春に咲く花の開花時期がまちまちになりがちで、どの花がいつ頃楽しめるのか本来の季節を見失っている方も多いと思います。桜、梅、桃は数か月かけて日本列島を北上しながら開花していきます。それぞれの開花時期は、次のとおりです」(千趣会イイハナ)
【桜の開花時期】
3月中旬〜5月上旬。例年最も早く開花する沖縄は冬に咲き始めますが、本州や九州などの気候が温暖な地域で3月中旬頃から開花が始まり、春が遅れてやってくる北海道は最後に開花する。
【梅の開花時期】
1月下旬〜4月下旬にかけてが開花時期。ただし、品種によっては12月半ば、冬至(昨年は12月22日)の頃に花開くこともある。3つの「春の花」の中では、もっとも早く咲くため、「早春の花」ともいえる。
【桃の開花時期】
桜とおおむね同様で、開花時期は3月中旬〜4月下旬。桃から桜の順番で開花することが多いものの、寒暖差や地域差によっては開花時期がほぼ重なることもある。
「開花時期はあくまで目安です。品種や気候変動によって大きくずれることもあります。とくに梅は品種が500種以上あるといわれており、代表的な紅梅と白梅だけでも1か月ほど開花時期が異なるものがあります」(千趣会イイハナ)
花弁の形と幹の質感、葉の付く時期がそれぞれ違う
桜、桃、梅の開花時期には多少のずれがあるようですが、花や木などを一見しただけでは、意外とそれぞれを見分けるのは難しいということです。見分けるポイントはどこにあるのでしょうか。
「桜、梅、桃はいずれも同じように可憐な色合いの花ですが、花弁の形、幹の質感、葉の付く時期にそれぞれ違いがあります」(千趣会イイハナ)
【桜の見分け方】
・桜は品種によって程度に差はあるものの、花弁の先が二股に分かれているのが特徴。先端に切れ込みが入っていて、シャープなハート型をしている。
・幹肌は赤茶色で、ごつごつとしたいぼのような横縞模様になっている。また、桜の幹にはたくさんの穴が空いているため、たたいてみると梅や桃に比べて軽い感じの音がする。
・葉は花が咲き終わった頃から初夏にかけて茂る。
・花がついて付いている緑色の軸が長く、下を向くように咲く。
【梅の見分け方】
・梅も品種によって若干の個性はあるものの、多くは丸い花びらをつける。
・幹肌は黒ずんでいて比較的ざらついている
・葉は花が咲き終わってから出てくる。
・緑色の軸がなく、茶色い枝にへばりつくようにして咲く。
【桃の見分け方】
・花弁の先がとがっている。
・幹肌は白っぽく、幹をなでるとつるつるしていて、斑点模様がある(若い枝だと同じような色や形をしていて見分けにくいので、太い幹で確認すると分かりやすい)。
・花と葉が同時につく。
・緑色の軸が短く、同じ付け根から2輪の花が上や下などさまざまな方向を向いて咲く。梅は同じ付け根から1輪の花しか咲かないので、桃の方が華やいで見える。
「その他にも、とくに梅と似ている花に、杏(アンズ)があります。丸い花びらが梅とよく似ていて、開花時期も3月〜4月とされています。杏は樹皮に縦方向の模様があるので、それが見分ける目印になります」(千趣会イイハナ)
桜の原種は10種類で、それぞれが自然交配した野生種が100種類ほど、人の手をかけて交配させたものが300種類ほどもあるといわれています。
梅や桃などほかの春の花との違いがわかったら、桜の品種による違いを見極めるのに挑戦してみてもいいかもしれませんね。
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