7回目となる「クランチロール アニメアワード 2023」の授賞式が3月4日、日本国内で初めて開催された。
授賞式には、国内のアニメ関係者のみならず、プレゼンターとして映画監督ジャスティン・リン(『ワイルド・スピード』シリーズ)やロバート・ロドリゲス(『デスペラード』)、『ストレンジャー・シングス』のフィン・ウルフハードといったスターが登場し、話題を呼んだ。
クランチロールは、アメリカに本社を置く、海外で日本アニメの配信を展開するストリーミングサービス。2017年以降、アニメ作品と、それを支えるクリエイターやミュージシャン、キャストなどを称える「クランチロール アニメアワード」を毎年開催してきた。
クランチロールは2006年にアメリカでスタート。当初はアニメ動画の投稿サイトで著作権侵害状態が続いていたが、現在ほど合法配信サイトが整備されていなかったため、海外のアニメファンに重宝されていた。
転機になったのは2008年。テレビ東京など日本のコンテンツホルダーと正式に提携を交わし、コンテンツを合法的に提供できる体制を整えていった。その後、順調に成長を続け会員数とコンテンツ数が増加。2020年にはソニーが1222億円という巨額での買収を発表した。
現在では有料会員数が1000万人近く、無料会員は1億人以上を抱える巨大サービスに成長。ネット配信だけでなく、映画館での劇場アニメ配給やイベント開催、グッズ販売やゲーム開発など多方面に事業を展開している。
ソニーグループの一員となったことで、アメリカ大手映画会社、ソニー・ピクチャーズとも連携を深め、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』や『ONE PIECE FILM RED』などの劇場公開を世界で成功させた。
新海誠監督の『すずめの戸締まり』もクランチロールが中心となって世界199カ国への配給が決まっている。クランチロールは、日本アニメの海外進出をカギを握る存在と言える。
クランチロール アニメアワードは、そんな同社が手がけるファン投票による年次イベントだ。世界中のファンが投票して各部門の受賞者が選ばれる。2023年には約1800万もの投票があったという。
日本開催の意図として同社CEOのプリーニ・ラフール氏は、「アニメ生誕の地、日本より他にこのアニメアワードを祝うにふさわしい場所はありません」と語る。
授賞式が国内で開催され、国内のアニメ関係者にとって、世界のアニメファンに自分たちの仕事がどう評価されているのか実感できる場となったことだろう。
最優秀監督賞を受賞した『鬼滅の刃』遊郭編の外崎春雄監督は受賞に際し、「クリエイターが表彰されるというのは本当に素晴らしいことだと思います。その一人一人のクリエイターの皆さんを始め、多くの方々がいてこそ作品が完成し、日本をはじめとして世界中に作品を届けられているのだと思います。そして、その作品が届く場所が世界に対してはクランチロールだと思います。監督たちが作られた作品が多くの人に支持される場を作っていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです」とコメントしている。
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「クランチロール」とは? 日本アニメ世界進出のカギ握る。配信だけでなく映画配給も