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都市部に木を増やせば、ヒートアイランドによる死者数を大幅に減らせる可能性がある――。
都市に植えられた樹木が、住民の健康に良い効果を与える可能性あることが、医学雑誌ランセットに1月に掲載された調査で明らかになった。
研究では、都市の30%を樹木で覆った場合、平均気温が0.4℃下がり、死者数が4割近く減る可能性があることがわかったという。
平均気温も死者数も下がる可能性
スペインのバルセロナ・グローバル・ヘルス研究所などの国際研究チームは、ヨーロッパの93都市における2015年夏の死者数とヒートアイランド現象の関連を調査。その結果、気温上昇に起因すると考えられる死者数が6700人だったことがわかった。
さらに、研究チームはこのデータを分析し、都市部の30%を樹木で覆っていた場合に死亡率はどう変わっていたかを推定した。
すると、平均気温が0.4℃下がり、2644人もの死亡を予防できていた可能性があることがわかった。これは死者数の4割近くに迫る人数だ。
東京では過去100年で平均気温が3.3℃上昇
日本でも、問題になっているヒートアイランド現象。
高層ビルなどの建物が密集し、自然が少ない都市部の温度が周辺地域より高くなる現象で、熱中症など健康に悪影響を及ぼす。
その代表格といえるのが東京だ。気象庁によると、東京では過去100年で平均気温が3.3℃上昇。熱中症による死者数も増加傾向にある。
世界経済フォーラムは、東京のような都市で温度が上昇すると、エアコンの稼働量が増えてエネルギー使用や二酸化炭素排出量を押し上げ、その結果ますます温度が上昇して人々の健康を脅威にさらすとの見解を示している。
今回の研究に携わったバルセロナ・グローバル・ヘルス研究所のMark Nieuwenhuijsen氏は、樹木を増やすことにはヒートアイランド現象に関連する死者数だけではなく、さまざまな疾患やメンタルヘルスの不調を減らすなどの利益がある、とガーディアンの取材で指摘。都市部により多くの樹木を植えることを優先すべきだと強調している。
また、オックスフォード大学のYadvinder Malhi教授も「樹木は都市部の気候変動への抵抗力を強め、環境を改善する上で非常に重要です」と同メディアに述べている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
都市に木を増やすことは命を救う。暑さによる死者数を減らす可能性が明らかに【研究結果】