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寿命より先にお金が尽きる「長生きリスク」。60代以降の満足いく生活のために、何から始めればいい?

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60代以降も満足感のある生活をできるかーー。

寿命が延び続ける中で、自分の持っている資産では十分に足りなくなる「長生きリスク」への対応の重要性が増している。足りなければ、節約する、積み立て投資など資産を運用する、想定よりも長く働き続けるなどいろんな選択肢を組み合わせていくことが必要になってくる。野村証券の池田肇常務(デジタル・カンパニー担当兼営業部門マーケティング担当 )はそのためにも「保有する資産を一括して円グラフにし、自分の資産状況を把握することがスタートラインです」と話す。

野村証券の池田肇さん野村証券の池田肇さん

健康上の問題で日常生活が制約されることなく過ごせる「健康寿命」は男女ともに延び続けている。男性平均は70.42歳(2010年)から72.68歳(2019年)、女性平均は同期間に73.62歳から75.38歳になった。平均寿命は、男性で9年弱、女性では12年超延びている。

「安心して資産を活用できる超高齢化社会」をめざしてお金にまつわる調査をしている「フィンウェル研究所」が2022年1〜2月に全国の60代6000人に生活満足度などについて尋ねたところ、保有資産で自分の寿命をカバーできないと答えた人は3割に上った。5割が「なんとかギリギリ足りると思う」と答え、「十分できると思う」は2割弱だった。

池田さんは「この20〜30年で預貯金につく金利はほとんどなくなってしまった。もらえる年金も昔ほどではなくなってきている」と話し、「自分の資産状況を把握し、資産寿命と健康寿命を一致させていくための計画をそれぞれが考えていかねばならない」と指摘する。「資産を運用している認識がなくても銀行口座を持っていたり、住宅や車を持っていたりでたいていの人が資産を持っている」とも話す。

資産寿命を見える化

野村証券は金融IT企業マネーフォワードとすべての資産を一元管理し、資産寿命を見える化するアプリ「OneStock」(ワンストック)を2020年に共同開発した。野村証券に口座がない人や証券会社を利用していない人でも使える。預貯金をはじめ、公的年金や暗号資産、貴金属、住宅ローンなど幅広い資産が連携できるようになっている。不動産についてもAI(人工知能)が査定するサービスもついている。

資産寿命の診断を受けるためには、誕生年、現在の収入、現在の保有資産を打ち込み、老後の生活水準はゆとりか標準か倹約から選ぶ。さらに配偶者の有無、退職予定年齢、年金受給開始年齢などを答えると保有している資産で何歳までまかなえるかが表示される。

老後の資金づくりのためにも、岸田政権は「資産所得倍増プラン」を掲げて預貯金を投資に向かわせようとしている。2023年度からは運用で得られた利益が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)が拡充され、投資信託や株式への投資に使えるNISA枠が広がる。

池田さんは、趣味や関心が投資をするうえで強みになるという。「ゲームにすごく詳しくて他の人よりも早く目をつけたゲームが大ヒットしそうだと感じたとします。誰がつくっているんだろうと調べて、上場していれば株を買えるとなるわけです」。

長期にわたって高い運用実績を上げているアメリカの著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏を例に挙げ、「運用がうまいだけでなく、若いころに始めたことがよかった。少額であっても(利子にもまた利子がつく)複利で長年運用する効果が出ています」と説明する。

ただ、「資産運用がすべての解決策ではないので、もちろん運用しない選択肢もある」とも。働いて収入を得る期間を延ばすのであれば、今の勤務先のままでいいか、早めに転職した方がいいかの検討や生活費を見直すなどの備えが必要になる。

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