ロシア軍から奪還したウクライナ東部の要衝イジューム近郊の森で見つかった集団墓地に、市民445人とウクライナ軍人17人が埋葬されていたとウクライナ司法当局が9月16日に発表した。現地取材した共同通信が報じた。
ルハンスク州知事は、この集団墓地で16日に発掘された遺体の「99%に暴行を受けた形跡」があるとFacebookで指摘。「これはウクライナ人の大虐殺だ」とロシア軍を強く非難している。
【※遺体の画像があるので閲覧注意】ルハンスク州知事が報告したイジュームの集団墓地の様子
■激戦の舞台となったイジュームとは?
ハルキウ州南東部のイジュームは、ドネツ川が蛇行する地域にある交通の要衝として知られている。ロシア軍が4月1日に占領して以降、半年間にわたってルハンスク州やドネツク州を攻撃するための補給基地として使われてきたが、9月初旬にウクライナ軍が大攻勢をかけてロシア軍を撤退に追い込んだ。11日にはゼレンスキー大統領がイジュームを奪還したことを発表していた。
このイジューム近郊の森の中に、無数の十字架の墓標が設置された集団墓地があることをウクライナ当局が発見した。全ての遺体を発掘して、法医学的捜査が行われる予定。16日には内外のマスコミに発掘現場の様子を公開した。
■手を後ろに縛られた死体は「拷問や処刑を受けた可能性がある」と指摘
ハルキウ州のオレグ・シネグボウ知事は9月16日、この集団墓地についてFacebookに投稿した。「暴力的な死や拷問の跡がある450人の民間人の遺体」が森に埋められていたとして、「これはウクライナ人の大虐殺だ」と強く非難した。
手を後ろに縛られた死体が何体もあり、首にロープを巻かれたまま埋められている人もおり、「拷問や処刑を受けた可能性がある」と指摘。また、集団墓地からは子どもの遺体も見つかった。ほとんどの墓には名前さえ書かれておらず、数字が入ったマークがあるだけだという。
現地取材したAFP通信も「記者が遺体の少なくとも1人が手を縛られているのを見た」とした上で、遺体の状態から「被害者が着ていたのが私服か軍服かは分からなかった」としている。
■4月には「ブチャの虐殺」が話題に
4月にロシア軍が撤退したキーウ近郊のブチャでも民間人を含む多数の遺体が見つかっており、虐殺の可能性が指摘されている。8月12日までに、458体の遺体が発見されており、そのうち116体は集団墓地に埋められていた。
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「ウクライナ人の大虐殺だ」市民445人が埋まった集団墓地、イジュームで見つかる