イギリスの君主として歴代最長の70年間在位したエリザベス女王が、現地時間の9月8日に98歳で他界した。
多くの旅をしてきた女王の究極の役割は、人々と繋がることだった。在位期間中には、マリリン・モンローやヴィクトリア・ベッカム、ドナルド・トランプなどの著名人から、女王を一目見ようと何時間も行列に並んだ多くの一般人まで、たくさんの人々と会ってきた。
国民が女王の死を受け入れ消化しようとしている今、ウェールズの人道主義者で世界中の紛争地域で働いてきた戦争外科医のデヴィッド・ノット氏と女王の話が話題になっている。
ノット氏は回顧録『War Doctor(戦場の医師)』の中で、シリアのアレッポから帰国して間もない時に、女王に会った際の話を語っている。
当時ノット氏は母親を亡くしたばかりで、「国民の母」と呼ばれる女王に会った時は、ただただ「泣きたかった」という。
「アレッポについてはもう聞かれたくありませんでした。もし聞かれたら、私は完全に取り乱してしまうと思ったのです」
女王は詮索する代わりに、愛犬のコーギーたち用のビスケットが入った銀の缶を開けた。犬にあげるようにと、ビスケット1枚を半分に割ってノット氏に渡した。
2人は昼食の後、犬について話して過ごした。ノット氏はテーブルの下で犬を撫でているうちに「不安や苦痛が消えていった」という。
女王は「ほら、話すよりずっといいでしょ?」と述べた、とノット氏は語っている。
この話は回顧録からの抜粋で、緩和ケアを専門とするレイチェル・クラーク医師がTwitterに投稿してからすでに4万3000人以上が「いいね」をしている。またInstagramでも広くシェアされている。
The extraordinary moment when the great humanitarian & trauma surgeon David Nott met the Queen, shortly after his return from Aleppo. pic.twitter.com/LP2z7oGnpu
— Rachel Clarke (@doctor_oxford) September 8, 2022
2人のやりとりに、エリザベス女王の「直感的な思いやり」の一例であるという声や、女王の「優しさと英知」の完璧な要約だという見方が上がっている。
ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「話すよりずっといいでしょ?」戦場帰りの医師とコーギーに餌やり。語り継がれるエリザベス女王の優しさ