イギリスのトップアスリートで、4つの五輪金メダルを獲得している陸上のモハメド・ファラー選手が、子どもの頃にアフリカで人身売買されて渡英したとBBCに明かした。
ファラー選手はこれまで、ソマリアから難民としてイギリスに来たと話していた。
しかし7月13日に放送されるBBCのドキュメンタリー『The Real Mo Farah(本当のモ・ファラー)』で、異なる過去を明かしている。
イギリスで待っていた現実
その回顧によると、ファラー選手は9歳の時に、見知らぬ女性に連れられて、アフリカのジブチ共和国からイギリスに渡った。
その時に、モハメド・ファラーという現在の名前が書かれた偽の渡航書類を渡されたが、出生時の名前は「フセイン・アブディ・カヒン」だと明かしている。
女性に「ヨーロッパの親戚のところに行く」と言われて「とてもワクワクした」というファラー選手。
しかし、イギリスに到着すると、親戚の連絡先が書かれた紙を目の前で破り捨てられ、食事をしたければ家事と子どもの世話をするよう告げられた、と振り返った。
さらに「家族に会いたいのであれば、何も言ってはいけない」とも命じられ、「何度もトイレに鍵をかけて泣いた」と語っている。
最初の数年は外部から遮断されていたというファラー選手。12歳になってようやく通えるようになった学校で、素晴らしい陸上の才能を見せた。
その後、体育の教師に自分が置かれている状況を伝えたことがきっかけで保護され、ソマリア出身の家族の家で育てられることになった。
「私は今でも本当の家族が恋しいが、その時から、すべてが良くなった」と振り返っている。
走ることが救ってくれた
ファラー選手はこれまで、両親と一緒に、難民としてソマリアから避難してきたと話していた。
しかし、両親がイギリスの地を踏んだことは一度もなく、母親は2人の兄弟とともに、ソマリア北部の家族経営農場に暮らしているという。父親はファラー選手が4歳の時に、暴動に巻き込まれて死亡した。
ファラー選手は、今回過去を明かした理由について、 人身売買と奴隷についての実態を、多くの人に知ってもらうためだとBBCに伝えている。
「私と全く同じ経験をしている人がたくさんいることを知りませんでした。自分がどれだけ幸運だったのかを伝えたいのです」
「私を救ってくれたのは、そして違ったのは、私が走れたからです」
Through this documentary I have been able to address and learn more about what happened in my childhood and how I came to the UK. I'm really proud of it and hope you will tune into @BBC at 9pm on Weds to watch. pic.twitter.com/rqZe41gFm8
— Sir Mo Farah (@Mo_Farah) July 11, 2022
ファラー選手のツイート:このドキュメンタリーで、子どもの頃に何が起きたのか、そしてどうやってイギリスに来たのかを話しています。そのことをとても誇らしく思っています。BBCで水曜日の午後9時から放送ですので、ぜひ見てください。
BBCの記事(英語)はこちら。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
子どもの頃に人身売買された。五輪金メダリストのモハメド・ファラー選手が衝撃の過去を明かす