気温が高い夏は尿酸濃度が上昇
「痛風は高尿酸血症とも呼ばれ、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態をいいます。細胞内の核に含まれる『プリン体』という物質が分解されるときに生じる老廃物の尿酸が尿として排泄(はいせつ)されず、血中濃度が高まることで発症する病気です。
余分な尿酸が体内にたまる状態が続くと、結晶となって手や足の関節に蓄積されて関節などに痛みが生じ、赤く腫れます。これを『痛風発作』と呼ぶのです。発作を放置したままでいると、『痛風結節』というしこりが生じ、腎不全や尿路結石、動脈硬化などの合併症を引き起こす可能性も高まります。
尿酸値が高い人は痛風発作が起きないとしても、心筋梗塞などの血管障害が起きるリスクを抱えていることになりますので、注意が必要です」(吉田院長)
特に、夏場の深夜に尿酸の増加が見られる傾向にあるそうです。
「血中の尿酸濃度は、発汗などによって体内の水分が奪われることが原因で上昇します。気温が高くなる夏場は、とくに尿酸値が上がりやすい季節なのです。高温の際には通常の気温のときに比べて、約40%も痛風発作が増えるという研究報告もあります。
夏場は大量に汗をかくことで脱水状態となり、血液中の尿酸値が上がります。また、アルコール類、とくにビールや清涼飲料水の摂取量が増えることも、尿酸値上昇の大きな要因です。
アルコールには利尿作用があるため脱水を起こしやすく、尿酸値を上昇させます。ビールにはとくにプリン体が多く含まれています。
また、就寝時に脱水症状が起きやすいため、夜間に痛風発作が多くなりがちです。1日を0~8時、8~15時、15~23時台と3等分してみると、0~8時の深夜を含む時間帯が、8~15時の日中の2.4倍の痛風発作が生じたと報告されています。
さらに、サウナで多量の汗をかくことも、痛風発作の要因になることがあるので注意が必要です。特に汗をかいた後は十分な水分補給を心がけましょう」(吉田院長)