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「防衛費を増やす」この声にどう向き合いますか?泉健太代表インタビュー【U30×立憲民主党】

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7月10日に投開票を迎える参議院議員選挙。若者の政治参加が進まず、未来へ希望が持ちにくいと言われるなか、各政党はどのようなビジョンを示すのか。

U30世代に向けてSNSなどでわかりやすくニュースや社会問題を伝えている「NO YOUTH NO JAPAN」の代表で、ハフポスト日本版のU30社外編集委員を務める能條桃子さんが、各政党にインタビューを実施。政治への疑問や社会に対する不安をぶつけた。

第5回は立憲民主党。泉健太代表(47)が取材に応じた。

*ハフポスト日本版は6月20日、政治家とU30が同じ目線でリアルに対話するイベントを開催します。アンケートへのご協力をお願いします。

「次の世代の国民が幸せな環境を作っていく」

泉健太代表(左)と能條桃子さん=東京都千代田区泉健太代表(左)と能條桃子さん=東京都千代田区

能條桃子さん(以下、能條):

まず、立憲民主党は次世代にどんな日本を残したいと思って活動しているかということを教えてください。

泉健太代表(以下、泉):

自分たちの世代のことだけを考えるんじゃなくて、常に30代以下、10代以下、次の世代の国民が、自分たちと少なくとも同じように、もっといえばそれ以上に幸せな環境を作っていけるかということを意識しながら活動しているのが、立憲民主党です。

今回の参院選に向けても「未来世代においても耐えられる法律に今の法律を変えていかなきゃいけない」という作業を、各分野でやっていこうとしています。

LGBTの問題や同性婚の問題についても、「共感」や「共生」の考え方が間違いなく進歩し、進展している。前の世代が持っていた固定的な価値観よりもはるかに柔軟になり、目の前の人と良好な関係で社会を築いていきたい、生きづらい世の中にしないというものです。

皆さんの感覚、価値観に合う社会をつくっていく。地球環境問題や教育問題などで多様な価値観をより反映させた政治にしていきたいと思っています。

能條:

国家観ではどうですか?日本はどういう国であればいいと考えていますか?

泉:

この国で仕事をする政治家としては、日本が引き続き先進国であること。これは求めたいと思うし、そのためには成長も必要です。

ただ、先進国であること、成長することというのは、同時に地球環境に貢献できる国、国際平和に貢献できる国であること。そうすることで日本人としての誇りが持てると思うので、日本独自の歴史や文化も持ちながら、世界と共生する国を作っていきたい。

当然ながら、教育も先進的なものにしていかなきゃいけない。

今、日本の子どもが少なくなって、国際競争力も下がっていると言われるので、外国語、特に英語教育などを含めて、もっと日本人が世界で活躍できるような教育の基盤作りもやっていきたいと思いますね。

「外交・安全保障は野党でもできる」

立憲民主党の泉健太代表立憲民主党の泉健太代表

能條:

ウクライナ侵攻があり、今回の参院選でも安全保障や経済も含めて議論になると思います。

泉:

外交・安全保障は与党だけではない。野党でもできる。立憲民主党でも外交・安全保障、任せて安心だということはまず宣言したいと思います。

日頃から外務省、防衛省、国際組織などとやりとりをして、いつ政権を担っても大丈夫なように情報交換し、研鑽も積んで、政策も出しています。

今立憲民主党が言っている「生活安全保障」という言葉の中で、「着実な安全保障」という言葉で外交・安全保障政策を語っていますが、1つはどんな状況でも「対話外交を重視する」ということです。

好き嫌いではなく、特に政治家は厳しい環境であるときこそ対話を続ける。お互いに嫌な顔をしながらでも対話を続けるという、対話外交をまず大事にしていきたい。

日米安全保障条約は立憲民主党も当然のことだと思っているので、自衛隊と日米安全保障条約によって日本を守るけれども、それに加えて多国間連携をすることで、地域の緊張感を高めない努力をしていくということが大事。軍縮、核軍縮にも積極的に取り組まないといけません。

能條:

他党には北朝鮮や中国、台湾有事など、今の日本の置かれている状況を踏まえて防衛費を増やして、防衛力を強めようという声もありますが、これについてはどう思いますか。

泉:

単純に自国のことだけを考えるのは近視眼的、全体を見てないと思いますね。

「自国の防衛力を高める」と自国で言ったとしても、周りの国が「日本が攻撃力を高めた」と捉える可能性もある。

そうすると他国もまたそれ以上に、軍事力を拡大するかもしれません。その競争に日本は耐えられるんですか、それで本当に安全なんですか、ということは問いたいと思いますね。

繰り返しですが、立憲民主党は必要な防衛力はもちろん積み上げていく。ただ単に周辺国と軍事力で競争するんですかと、そこを問わなきゃいけない。

泉健太代表にインタビューする能條桃子さん泉健太代表にインタビューする能條桃子さん

能條:

その「着実な」というラインの目安はあるんですか?

泉:

必要なものは整備をするということに尽きますね。だから(防衛費の対GDP比)「2%」ありきではない。中身が決まっていないけど額を示すって逆におかしいという考え方です。あくまで1つ1つ、防衛省や自衛隊がどんな装備品が必要だという議論を続けて、これとこれとこれが必要です、と。

教育や国内の防災など、予算は無尽蔵にあるわけじゃないので、限られた予算の中で何に優先順位をつけるかということをちゃんと示す。これは立憲民主党の考え方ですね。

被選挙権年齢は「引き下げる」

能條:

政治の世界の風通しのよさや多様性という問題もあると思います。20代の国会議員は1人しかおらず、女性の割合も少ないということもありますが、被選挙権の年齢についてはどう考えていますか?

泉:

立憲民主党は「被選挙権年齢引き下げ」を言ってます。僕も実は20代で国会議員になったんですよね。

外国では高校生でも議員になれるわけです。そこに「能力のあるなし」を問う人がよくいるんですけど、選ぶのは住民、市民なので、その人の成長や可能性も含めて託したいということで当選しているのであれば、それは正当性があること。何歳だから能力がある・ないという話ではないと思います。

能條:

女性議員の割合についてはどうですか。

泉:

立憲民主党は私の体制になって、役員の半分を女性にしました。まずできるところからやる。

今取り組んでいるのは参院選の候補者を5割、女性にするということ。少なくとも現時点で、選挙区の候補者は女性が50%を超えたという状況にあるので、これからも進めていきたい。

能條桃子さんのインタビューに答える立憲民主党の泉健太代表(右)能條桃子さんのインタビューに答える立憲民主党の泉健太代表(右)

能條:

女性議員がなかなか増えない要因として、今まで男性中心で、パートナーがケアや子育てをしてくれるという前提があって議員活動や政治活動ができるというのがありました。でも政治家は仕事をやろうと思えば時間の制限なくやれるし、それが有権者から託された票なので必要だという考え方もあると思いますが、その点はどうでしょうか。

泉:

世の中の常識や感覚の点から変えていきたいと思っています。

朝演説している議員や候補者が一生懸命な人で、やっていない人はそうでない人というのは変えなきゃいけない。夜宴会を3件回る人より5件回った方がいいとかね。家に帰れば介護をしていたり、子育てをしていたりしているということもプラスで受け取ってもらえるような世の中、政治にしていかなきゃいけない。 

ネット配信も含めて世の中に訴えられる手段が増えてきているので、そういうものも活用して、実労働時間を増やすというよりも、主張がより伝わりやすくしていく環境をつくるということをやりたいですね。

若い世代の将来不安。財政バランスのビジョンは

立憲民主党の泉健太代表立憲民主党の泉健太代表

能條:

若い世代は、漠然とした将来不安みたいなものがかなりあると思います。その要因の1つになっているのではないかと思うのが財政です。プライマリーバランス(基礎的財政収支)についてはどのようなスタンスですか。

泉:

一定の規律は持たなきゃいけないと思います。ただ、僕が(国政に)初挑戦をした2000年頃には「666兆円の借金がある。このままでは破綻する」と言われていた。20年経って借金はほぼ倍になったけど、日本は破綻していません。

ですから、いわゆる破綻シナリオみたいなものはちょっとごまかしがあると思いますね。なぜかというと、日本は借金もあるけれども、それ以上の金融資産を持っている国です。

日本の国債は世界の人に買われているわけではなくて、日本国内でほぼほぼ全量を消費できているということからすると、財政破綻はそう簡単に起こるものではないと思います。

だからといってただ借金を膨らませていいというわけではない。新型コロナやウクライナ、物価上昇といった平時ではない局面のときにはやはり財政出動は必要だと思うので、必要なものは行いながら、長期的にとれるところからしっかりと税収を確保して、国家としての財政バランスを整えていくということが必要だと思います。

能條:

社会保険料が上がり、20代の可処分所得が減っていくという問題があると思いますが、社会保険料についてはこれからも増え続けるのか、変わる未来があるのかというところはどうでしょうか?

泉:

日本の場合はいずれは高齢者も減っていく時代なので、ピークからは逆に社会保障関係費は減っていくことになると思います。

ただそれはもう少し後の時代になると思いますが、立憲民主党が言っているのは「応能負担」という考え方です。

資産や収入のある人と、低所得の人の社会保険料にはやはりもっと差があっていいと思うので、資産を持っている人たちの社会保険料は引き上げていく。そこで財源を確保することも必要だし、当然ながら企業の法人税なども高めていくことができると思います。金融で大きな収入を得ている人たちの金融所得課税も引き上げることができます。

僕らとしては「応能負担」で財源を確保していきたいと思っています。

「自民党だけじゃダメだと思う人」に投票してほしい

立憲民主党の泉健太代表立憲民主党の泉健太代表

能條:

最後に、参院選では若い人の中でもどんな人に立憲民主党に投票してほしいと思っていますか?

泉:

3つあります。自民党だけじゃダメだと思う人。多様性が認められる社会がいいよね、と思う人。そして、次の世代の価値観を大事にする政党として選んで欲しいですね。地球環境の問題や地方分権、そういう次の世代の価値観を大事にする政党として立憲民主党を育ててほしいと思います。

(執筆:竹下由佳、写真:坪池順)

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「防衛費を増やす」この声にどう向き合いますか?泉健太代表インタビュー【U30×立憲民主党】

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