AppleはWWDC22で新プロセッサ「M2」を発表し、競合他社に対する圧倒的なリードを見せつけました。ライバルとなっているのはもちろんPC向け半導体大手のインテルですが、さらに「M2チップをも超える」と宣言する第2のメーカーが現れています。
*Category:テクノロジー Technology|*Source:9to5Mac ,CNET ,Qualcomm
クアルコムにとってAppleの「インテル脱却」がチャンスだった理由
電力効率と性能で業界を大きくリードするAppleシリコンの登場は、多くの半導体メーカーに激震を走らせるものでした。Appleがインテル製プロセッサから脱却した後、MacBookを始めとする多くの製品は勢いを強めています。
インテルのパット・ゲルシンガーCEOは、Appleという巨大な顧客を「取り戻す」と宣言し、打倒Appleシリコンを目指して自社製品を強化しています。実際のところ、昨年登場した12世代Coreシリーズは久々の大きな進化を見せ、長年のライバルであるAMDを超える性能をアピールしました。
そして、インテルに続き、打倒Appleシリコンを掲げているのが米クアルコムです。同社のプロセッサ「Snapdragon」シリーズは主にAndroid端末に採用されており、iPhoneのプロセッサ「A」シリーズと常に比較され続けてきました。
そのクアルコムが現在注力しているのが、PC向けプロセッサの開発です。同社のクリスティアーノ・アモンCEOは海外メディア「CNET」に対し「PC市場でもAppleを打ち負かすことができる」との考えを述べています。
根拠としているのが、クアルコムが買収したNuviaの開発チームの存在です。このNuviaは、iPhoneの「A」シリーズを担当した元開発者がAppleを退社し、新たに立ち上げた会社でした。クアルコムはこのNuviaを14億ドル(約1870億円)で買収し、自社製チップの開発陣を強化しています。
クアルコムとAppleはどちらも同じARMアーキテクチャを採用したチップを開発しており、Appleシリコンと同じ高効率で高性能という特徴を持っています。Apple専門の米メディア「9to5Mac」は、クアルコムはM1チップ開発に関する多くの知識にアクセスできるようになった、と指摘しており、同社のチップがAppleシリコンのような性能を発揮する可能性を示唆しています。
アモンCEOは、ARM上で動作するプログラムの開発を推進したAppleに感謝していると述べ、Microsoftも同じ道(ARMチップへの移行)を進めていると指摘。クアルコムは以前からPC向けのプロセッサを開発してきましたが、PC市場ではインテルやAMDが採用するx86アーキテクチャが主流で、ARMアーキテクチャのチップはあまり受け入れられていませんでした。
このクアルコムのチップがお披露目されるのは2023年末とまだまだ先のようですが、特にインテルにとっては予断を許さない状況にあることは間違いありません。Appleに続きWindows市場のシェアまで失えば、インテルにとってはまさに真の危機となるはずです。
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「打倒Appleシリコン」クアルコムCEOが半導体“大競争時代”に使う切り札