「この数字、何なんだ! やるべきことをちゃんとやってるのか」。岸田文雄首相は14日午後、首相官邸で行われた会議で、後藤茂之厚生労働相や山際大志郎経済再生担当相らを前に声を荒らげた。首相がいら立ちをあらわにした「数字」は、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種率に関する沖縄県のデータだった。
3回目接種35%「いつになく厳しい」
全国の3回目接種率は14日までで47・11%。政府はこの水準に「なかなか接種が進まない」と気をもんでいるが、沖縄県はこれを大幅に下回る35・05%にとどまる。30%台は沖縄県だけで、全国最下位だ。一方で、沖縄県の直近1週間の10万人当たりの新規感染者数は全国1位の625人。首相の目にはワクチン接種を含めた対策の不十分さが感染拡大を招いていると映ったわけだ。
会議の後には山際氏と沖縄県の玉城デニー知事とのオンライン意見交換会が控えていた。沖縄県を指導するよう山際氏に言い渡した首相について、会議出席者は「『強く言え!』という感じで、いつになく厳しい言い方だった」と明かす。
首相が沖縄県の感染状況に神経をとがらせるのは、地域的な問題にとどまらないからだ。4月下旬からの大型連休では都道府県境を越えた観光客らの大規模移動が予想される。現時点で感染増の傾向がみられるのは沖縄県など地方が中心だが、政府関係者は「踏みとどまっている大都市からの帰省や旅行で全国に広まる可能性もある」と懸念する。(略
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