顔や名前は、その人にとって大事なアイデンティティだ。
にもかかわらず、メディアが、黒人の著名人の顔や名前を間違えて報じることが後を絶たない。
アメリカの大手紙ニューヨーク・タイムズは、女子テニスのセリーナ・ウィリアムズ選手について紹介する記事で、顔写真を別の人と間違えて掲載した。
その写真は、同じくテニス選手で姉のビーナス・ウィリアムズ選手のものだった。
「私でさえ見落とされている」
No matter how far we come, we get reminded that it's not enough. This is why I raised $111M for @serenaventures. To support the founders who are overlooked by engrained systems woefully unaware of their biases. Because even I am overlooked. You can do better, @nytimes. pic.twitter.com/hvfCl5WUoz
— Serena Williams (@serenawilliams) March 2, 2022
セリーナ・ウィリアムズ選手は、グランドスラム(4大大会)で23のタイトルを獲得。アスリートとしての功績に加え、起業家・慈善家としても、女性やマイノリティの人々が活躍の場を広げるための取り組みを続けてきた。
ウィリアムズ選手は自身のTwitterで、ニューヨーク・タイムズの掲載紙の写真とともに、顔写真の誤掲載について「どこまで進んでも、まだ不十分だと思い知らされる」とコメント。抗議の意を示した。
CNNによると、ニューヨーク・タイムズの記事は、ウィリアムズ選手が立ち上げたベンチャーファンド「セリーナ・ベンチャーズ」で1億1100万ドルを調達したという内容。このファンドは、非白人の女性の創業者を中心に、資金調達に苦労しているスタートアップ企業に投資するため、ウィリアムズ選手が2014年に創設したものだ。
ニューヨーク・タイムズの間違いについて、「だからこそ @serenaventures(セリーナ・ベンチャーズ)のために1億1100万ドルを調達したんです。自分たちの偏見にまったく気づいていない、根深いシステムに見落とされている創業者を支援するため。なぜなら、私でさえ見落とされているからです」と厳しく批判した。
続けて、「もっと上手くできるでしょう」として、ニューヨーク・タイムズのTwitterアカウントにメンションを飛ばした。
このウィリアムズ選手の抗議に対し、ニューヨーク・タイムズ・ビジネスがTwitterで返答。過ちを認めた上で、「印刷用の写真を選ぶ時の間違いによるもので、オンラインには掲載されていません」と釈明。紙面でも訂正を出すと約束した。
また、ウィリアムズ選手の夫であり元Reddit共同創業者のアレクシス・オハニアンさんは「私が他の白人の男性と写真を間違われることは決してない」とコメントした。
This was our mistake. It was due to an error when selecting photos for the print edition, and it did not appear online. A correction will appear in tomorrow’s paper.
— NYT Business (@nytimesbusiness) March 2, 2022
「黒人で有名な人はみんな似ていて見分けがつかないのか?」
アメリカのメディアが、黒人の著名人を間違えて報じたことは、これまでにも複数回あった。
ロサンゼルスのテレビ局KTLAは2014年、生放送のインタビューで、レポーターのサム・ルービンさんが、俳優のサミュエル・L・ジャクソンさんを、同じく俳優のローレンス・フィッシュバーンさんと間違えたことがあった。
ジャクソンさんは番組中に「私たちは似ていません。黒人で有名な人はみんな似ていて見分けがつかないというのか?」と抗議した。
また、Fox Newsでは2018年、伝説的なソウル歌手アレサ・フランクリンさんが亡くなった際、存命の歌手パティ・ラベルさんの写真を誤って使用し、その後謝罪した。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
なぜ黒人の顔を間違えて報じる?セリーナ・ウィリアムズが写真誤掲載の大手紙を批判「偏見に気づいていない」