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「北京五輪はスポーツウォッシング」。モーリー・ロバートソンさんが指摘する中国の欺瞞とは

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インタビューに応えるモーリー・ロバートソンさん

北京パラリンピックが3月4日、開幕する。

2月20日に閉幕した北京オリンピックは、多くの感動を呼んだ一方で、中国の人権問題やスポーツの政治利用が見え隠れした大会だった。

オリンピックの開幕直前、タレントのモーリー・ロバートソンさんは自身のツイッターで「北京五輪にどうコメントするのかがテレビ出演の緊張のしどころ」などと投稿していた。

国際ジャーナリストとしてテレビのコメンテーターも務めるロバートソンさんの目に北京オリンピックはどう映ったのか。北京パラリンピックが始まるのを前に話を聞いた。

彭帥さんは人質

ーー北京五輪の開幕前は中国の人権の問題が取り上げられましたが、開幕後はあまり聞かれなくなりました。それはなぜでしょうか?

テレビなどの大手メディアが、もはや大手メディアとして振る舞っていないことが理由です。

特に、テレビはスポンサーとの関係上、巨大なマーケットである中国が抱える新疆ウイグル自治区やチベット、香港での人権侵害などの問題について、基本的に見て見ぬふりをしました。

もう少しメディアが社会的に発言権や影響力があったら、しっかり問題を考えながらも選手を応援しようとか、いろいろできたと思います。

ーー北京五輪の開会式で、ウイグル族の選手が聖火リレーの最終走者を務めたことが話題になりました。どう見ましたか?

我々はウイグル族も大切にしていますよという中国のメッセージです。中国は責任ある大国ですので、海外メディアは人権侵害の問題について強く批判しています。

しかし、中国は何が人権かは自分たちが決めるという態度で、そういう開き直りというか、「何が悪い、止められるものなら止めてみろ」といった感じで相手の足元を見ています。

ーー北京五輪期間中に国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が、中国の前副首相から性的関係を迫られたと告発したとされるテニス選手の彭帥(ほうすい)さんと面会しました。また、競技会場では彭帥さんが試合を観戦する姿もみられました。これについてどう思いますか?

人質です。彭帥さんが現れたのも、本人の口から問題がないと言ったのだから、本件はこれで解決だという主張です。しかも、監視付きで言わせています。

自分たちが作った物語が真実であり、その裏付けは証拠ではなく自分たちの主張なのです。一方で、正式な調査や彭帥さんと会う機会を求めた女子テニス協会(WTA)の姿勢はいいと思います。

ーー北京五輪は※スポーツウォッシングだと思いましたか?

 北京オリンピックはスポーツウォッシングです。スポーツウォッシングなのですが、問題は14億人の中国人の大多数がオリンピックに賛同して感動してしまっていたことです。

日本ではスポーツと政治は切り離さなくてはならないと信じている人もいて、スポーツの無謬性こそが中国政府のプロパガンダの後ろ盾になってしまっていると思いました。

スポーツは政治と中立だということは「物語だ」と世界中が既に分かっているのですが、その物語を信じてしまっている人がいるのも現実です。

ーー高梨沙羅選手がスキージャンプ混合団体でスーツの規定違反で1回目が失格となり、競技終了後に自身のインスタグラムで謝罪文を掲載しました。どう感じましたか?

本人はもう闇雲に、とにかく感情に飲み込まれて申し訳ないとなってしまった。そういう感情になってしまう選手を、長い間かけて育成したスポーツとは一体何なのかと思います。品行方正が求められ、みんなの代表だから責任を感じやすい。

ただ、子供の時からスポーツをやっている人がそういうふうに育てられるわけだから、それを連綿と受け継いで、昭和のフォーミュラ(形式)でやり続けているスポーツの運営主体の方に問題があるのではないでしょうか。

スポーツのアップグレードが必要 

ーー北京五輪をどう評価しましたか?

オリンピックは本来、国家間の競争ではないけれど、どの国の勢いがあって、どの国の国民がより優れているかを僅差で競い合う祭典になってしまっています。

スポーツ選手は理想的な大使であり、前線で戦っている兵士であり、そして国威発揚のビン・ドゥンドゥン(マスコット)なのかなと思います。

私はスポーツが好きではないんです。好きでもないし、興味もないけど、マイノリティーである黒人がテニスや水泳、体操でメダルを取ったりするのを見ると、BLM(ブラック・ライブズ・マター)的に応援します。

北京オリンピックでも、スピードスケートで黒人女性選手が初めて金メダルを取りました。黒人の社会進出やマイノリティーが声を出せる環境はすごく大事です。オリンピックが、あるべき社会を作っていく突破口にはなると思います。

でも、これは結局、夏季大会と冬季大会の2年周期の間に社会課題を解決するという宿題をやってこなかったことでもあります。

みんなで、もうちょっと多様な社会を作って、マイナーボイスも聞けるようにする、批判的な声にも耳を傾けて変わるという勇気を持つ社会を選べば、その都度、オリンピックに対する考え方はアップグレードされていくはずです。

スポーツのパラダイム(枠組み)を書き換える必要があります。スポーツはアップグレードが必要な時期に来ていると思います。

※スポーツウォッシング =スポーツとホワイトウォッシング(隠蔽)の造語。五輪などの大きなスポーツイベントで人権問題などを覆い隠すことを意味する。

モーリー・ロバートソン 1963年、ニューヨーク生まれ。東大を退学後、ハーバード大に入学して卒業。タレントや国際ジャーナリスト、ミュージシャンなど幅広い分野で活動している。

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オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「北京五輪はスポーツウォッシング」。モーリー・ロバートソンさんが指摘する中国の欺瞞とは

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