血液検査スタートアップ企業・セラノス社の創業者エリザベス・ホームズに対し、アメリカ連邦裁判所の陪審団は1月3日、11の罪状のうち4つで有罪評決を言い渡した。
有罪を言い渡されたのは、投資家に対する通信詐欺の共謀1件と、3件の通信詐欺罪。
患者に対する詐欺など4つの罪では無罪評決が言い渡され、残る3つの罪で陪審員たちは評決を下さなかった。判事は評決が下されなかった3つの罪を審理無効とした。
ホームズには多額の罰金と最高20年の懲役が科せられる可能性があるものの、上訴すると見られている。
ホームズは表情を変えずに評決を聞いた後、パートナーや両親、2人の友人にハグをして法廷を去ったという。
シリコンバレーの寵児だったホームズ
ホームズは2003年、19歳で血液検査企業をシリコンバレーに設立した。
同社は「指先から微量の血液を採るだけで、200を超す血液検査が短時間・安価にできる」という革命的な新技術を打ち出し、ホームズは瞬く間にシリコンバレーの寵児になった。
黒いタートルネックを愛用したことから「次のスティーブ・ジョブス」とも呼ばれ、セラノス社の投資家や顧問には、ニューズ・コーポレーションのルパート・マードック氏など、著名な実業家や政治家らが名を連ねた。
セラノス社の評価額は一時90億ドルにまで上がったものの、2015年に内部告発者がセラノス社の内情を記者に暴露したことをきっかけに、同社の経営は傾き始める。
ウォール・ストリート・ジャーナルは同年10月、セラノス社の血液検査の大半が外部から購入した従来型の機器によるもので、セラノス社製の血液検査の正確性には重大な欠陥があると指摘する調査報道を発表。
ホームズは2018年に司法省から詐欺罪と共謀罪で起訴され、セラノス者は同年に解散した。
今回のホームズの裁判は、新型コロナウイルスやホームズの妊娠などで複数回延期され、2021年9月に始まった。
裁判では、投資家の1人だったジム・マティス元国防長官も証言し「ある時点で、セラノスの何を信じたらいいかがわからなくなった」「今振り返ってみると、ホームズさんの透明性に失望させられた」と述べた。
一方、ホームズは11月に証言した際に、セラノス社設立当初の報告書に同社の機器には効果があると書かれていた点を指摘し、無罪を主張していた。
また、ホームズは元ビジネスパートナーで恋人でもあったラメシュ・“サニー”・バルワニ氏に虐待され、支配されたとも述べたが、バルワニ氏の弁護士は虐待を強く否定し、他の証言者はバルワニ氏は職場ではホームズに従っていたと語った。
バルワニ氏もホームズと同様の罪で起訴されており、裁判は1月に始まる予定だ。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。
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シリコンバレーの寵児、エリザベス・ホームズに有罪評決。最高20年の懲役の可能性も