このほど発表された新しい調査結果では、女性や10代の若者に摂食障害を促すようなコンテンツがどれだけInstagramに潜んでいるかが明らかになった。そしてその量は、あまりにも多い。
権利支持団体SumOfUsの報告書は、Instagramは自社の10代の女性に対する悪影響(10代に対する有害な影響を含む)を完全に認識している、と主張したWall Street Journal紙の一連の報道のすぐ後に発表された。
摂食障害の専門家は以前から、Instagramが摂食障害を助長する可能性があると警告してきた。今回の調査結果を合わせると、この問題が制御不可能になりつつあることが分かった。
摂食障害の治療施設で働く心理学者のサマンサ・デカロ氏はハフポストUS版に、「摂食障害の専門家は、摂食障害を抱える当事者だけでなく、乱れた食生活や気分障害、悪いボディイメージのある人々への悪影響を非常に懸念しています」と話す。
「このようなプラットフォームは、人間関係を発展させ維持するためのツールとして使うことができます。しかしそれだけでなく、自己対象化や周囲との比較、有害な行動の動機付けや、『いいね!』などの数で外部からの認証を求めることにも使われます」
Instagramがどのように10代や若い女性を傷つけるのか
SumOfUsの報告書によると、720本のInstagram投稿のサンプルを調べたところ、そのうち240本は摂食障害に繋がるものだったという。同調査では整形や美白に関する投稿も調査した。
研究では、摂食障害に関連する投稿のうち、86.7%が未承認の食欲抑制剤を勧め、52.9%が摂食障害を直接的に奨励していることが分かった。
有害な投稿の例として、過激なダイエットを推奨するもの(1日200キロカロリー以下の食事プランなど)や、10代の女性たちが自分の写真にたくさんの否定的なキャプションをつけているものなどを挙げた。
そして、摂食障害に関連するハッシュタグが何百万と共有されているにも関わらず、それに対してInstagramはほとんど対策をしていない、と報告書は主張した。
「Instagramは摂食障害を促す明らかなハッシュタグには削除の措置をとっていますが、ユーザーは創造的なハッシュタグを使い、簡単に削除されるのを回避することができます」と研究者は述べた。
また、メンタルヘルスの専門家は、一見有害には見えないコンテンツでさえ、10代の若者には大きな悪影響を与える可能性があると警告する。
例えば、インフルエンサーが1日の食事内容の動画を投稿すると、彼らが栄養の専門家でも医療従事者でもないにも関わらず、多くの10代の若者はそのアドバイスに忠実に従う。そして自身の好みや空腹の合図を否定することを学んでしまう、とデカロ氏は述べる。
「また、写真を編集して投稿するという行為だけで、不安や体重への懸念、制限への衝動を高める可能性があると示唆する研究もあります」と加えた。
10代の若者と親ができること
10代前後の若者たちをソーシャルメディアから受けるメンタルヘルスやボディイメージによる影響から守るために、Instagramを有するMetaやアメリカ議会がどの程度の変更を加えるかは不明だ。Metaは以前、自社のプラットフォームが10代に悪影響だという主張に対し、10代のメンタルヘルスの悪化とソーシャルネットワークを結びつける研究は決定的ではない、と反論した。
一方、同社は9月、10代前後の子ども向けサービス「Instagram Kids」の計画を当面の間停止し、12月には若年層の利用者を守るため、休息を促す機能「Take a Break」を一部の国で導入した。また、2022年には、保護者が10代の子どもの利用時間の確認や上限設定をできるようにするツールを提供するという。
しかしそれでも、Instagramが10代の若者のメンタルヘルスに与える悪影響を緩和する負担の多くは、親と子どもたち自身にかかっている。
「私はレポートを読んだ時、驚き胸が苦しくなりましたが、目新しいことではありませんでした」と摂食障害治療プログラムのチーフ策略担当者のジリアン・ランパート氏は話す。「ソーシャルメディア、特に写真は見る人にとても大きな影響があることが分かっています。若く、まだ発達途中の脳には尚更です」
親はまず、子どもがどのようなアカウントを持っているかを把握すること。これは、「finsta」(裏アカウントのこと)も含めてだ。そしてそれらをフォローするようランパート氏は促す。そして10代の子どもたちと、何を投稿しているのか、何を見ているのか、それについてどう感じているのかを直接話すことを推奨した。(ランパート氏自身も10代の子どもたちがおり、1年間他にもアカウントがあったのを知らなかったという)
また、携帯電話を使う時間に明確な制限を設けることも効果的だという。
「子どもたちは携帯電話を一晩中自分の部屋に置いていますか?WiFiは常時オンですか?」とランパート氏。「私たち大人も、それが魅力的なことは分かります。子どもたちが携帯電話を置いて、『う〜ん、もうこれはやらない方がいいかな。脳の発達に良くないから』とは言わないでしょう」
Instagramが10代前後の子どもたちなど、若者にとって有害な環境になりうる一方で、結局ソーシャルメディアは彼らにとってつながりや社交の重要な一部なのだ。そして、それにより、カウンセラーや信頼できる治療施設とつながるパワフルなツールにもなり得る、とデカロ氏は述べる。
「また、ソーシャルメディアは若者にとって、体型・能力・性別・人種・民族・セクシュアリティが多様なクリエイターを見つけフォローすることで、美容・ダイエット業界が押し付ける有害な語り口に異議を唱える助けにもなります」と加えた。
課題は、10代の若者が破壊的な行動を促進するようなコンテンツを避け、プラスになる面を活用できるようにすることだが、それは親だけでは難しい。
Fairplayのような支援団体は、インターネットを若者にとってより安全するために活動しており、児童発達の専門家と共に、Instagram Kidsに公然と反対してきた。
また、会社自体も動き出す必要がある。Metaは、アプリを使用する際により良いメンタルヘルスを促進する方法として、Instagramの投稿への「いいね!」の表示の有無を選択制にした。また、美容的な加工が施された写真を指摘できるようにする、などのアプリへの変化も効果的だろう、と一部で声が上がっている。
この問題に真剣に取り組むのは、全ての人の責任だ。10代前後の若者に、ソーシャルメディアは現実を反映したものではないと言い聞かせ、制限を設けることは役に立つだろう。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集・加筆しました。
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Instagramに潜む、ボディイメージへの悪影響 【調査結果】