ハリー・ポッターシリーズ作者、J.K.ローリング氏のトランスジェンダーを否定するような言動が、スポーツにも影響を及ぼしている。
同シリーズから着想を得たスポーツ「クィディッチ」のアメリカの2つのリーグが12月15日、競技名を変更すると発表した。
MLQ and @usquidditch are working together to change the name of the game – literally. 🤯
Learn more about the decision and take the next steps to make your voice heard: 🔗 https://t.co/lNFq12uDfxpic.twitter.com/UArrsnZN1j
— Major League Quidditch (@MLQuidditch) December 16, 2021
クィディッチとは?
競技名を変更すると発表したのは、アメリカのメジャーリーグクィディッチ(MLQ)とUSクィディッチ(USQ)だ。
クィディッチはハリー・ポッターシリーズに出てくるスポーツで、魔法使いたちがほうきで空を飛びながら、スニッチというボールを追いかける。
人間がプレーするクィディッチは、ハリー・ポッターシリーズに影響を受けたアメリカ・バーモント州ミドルバリーカレッジの学生2人が2005年に立ち上げた。
このクィディッチでは、選手たちはほうきの柄にまたがってボールを追いかけ、相手のゴールを狙う。1チーム7人のうち、同じ性自認の選手4人以上が同時にプレーすることはできず、さまざまなジェンダーの選手たちが一緒に競技する。
国際クィディッチ協会(IQA)によると、クィディッチは2005年に始まって以来世界中に広がり、現在40カ国以上でプレーされている。
「必要不可欠なステップ」と発表
MLQとUSQは、競技名変更を2020年から模索してきたという。
理由の一つは、トランスジェンダーを否定するような言動を続けてきたJ.K.ローリング氏の作品と距離を置くためだ。
両リーグは声明で「私たちのスポーツは、ジェンダー平等とインクルーシビティ(誰も排除せず、すべての人を受け入れること)の点では最も進んだスポーツだという評判を築いてきました」「私たちはすべての面においてこの評判に沿うことが必要不可欠であり、今回の決定はその方向に向かうためのステップだと感じています」と説明している。
また、競技名変更は商標権問題の解決を視野に入れたものでもある。
クィディッチという名称はワーナーブラザーズが商標登録している。そのため、MLQとUSQはスポンサーシップや放映権などさまざまな面で、制約があった。
両リーグは、競技名変更が「増収につながり、競技の発展に貢献してくれることを期待している」としている。
新名称は、選手やファン、スタッフ、ボランティアなど関係者を対象に調査を進めた上で決定する。
アンチトランス言動に反対する立場を支持
クィディッチの国際運営組織であるIQAは、現段階での変更は考えていない。
IQAは、競技名変更には「各国の運営組織との協力が必要だ」として、変更する場合は各国団体と事前の協議を行うと声明で説明した。
その一方で、IQAはトランスフォビアに反対するというMLQとUSQの姿勢を支持。
トランスジェンダーの選手に対し「私たちはどんな形のトランスフォビアや偏見も容認しません。ローリング氏のトランスジェンダーコミュニティに反対するコメントを否定します」「私たちのスポーツへの参加を望む人は、望む自分としてプレーすることが歓迎される、とはっきりとお伝えします」とコメントした。
ローリング氏はここ数年、トランスジェンダーを否定するような言動で批判を受けてきた。
2018年には、トランスジェンダー女性に対して「ドレスを着た男性」などと中傷したツイートに「いいね」を押したことが発覚。2019年には「人は性別を変えられない」といった発言で仕事を失った女性を擁護する内容をツイートし、物議を醸した。
さらに2020年には、トランスジェンダー男性など、女性以外で月経がある人にも配慮した「月経がある人たち」という表現を用いた意見記事をTwitterで引用し、茶化すようなコメントをしたことが批判された。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
J.K.ローリングの反トランスジェンダー発言で、クィディッチのリーグが競技名変更へ「必要不可欠なステップ」