新作の名前は、『すずめの戸締り』だった。2016年に『君の名は。』、2019年に『天気の子』と連続でヒット作を生み出した新海誠監督の新作アニメ映画の製作発表会見が12月15日に開かれた。
新型コロナが新作に与えた影響について記者団から問われた新海監督は「コロナを連想させる部分はなくはないですが、そのものを描くことはしていない」と回答した。
日本全国を舞台にしたロードムービーの構成になっているが、実際には各地に宿泊しながら物語をつくることができなかったと明かした上で、「そういうことが当たり前にできるようになればいいなという渇望のようなものがフィルムに込められている」と話した。
■どんな作品?
2022年の秋に公開されるという『すずめの戸締り』について、新海監督は「今の時点だとお話しできないことが結構多い」と述べた上で、映画の3つのキーワードについて話した。
①日本各地を巡るロードームービー
新海監督によると、最新作は、日本全国を舞台とした冒険物語という。ロードムービーとなった背景には、「各地に舞台挨拶に行くのですが、映画を観終わったお客様から『次は僕の街を、私の街を舞台にしてください』と言われることがある」と話した。
続けて新海監督は、最新作を「ちょっと欲張り」な作品と述べ、「各地の様々な風景であったり魅力的な人々であったり特別な出会いを描くことができるのはないかと考えた」と話した。
②扉を開いていく物語ではなく扉を閉じていく物語
新海監督は、「どんなことでもそうですが、何かを始めることより終わらせることの方が難しいと思う」と話した。その上で、新作のストーリーについて「色々な可能性をどんどん開いていくような物語ではなくて、一つ一つの散らかってしまった可能性をもう一度きちんとみつめて、あるべき手段できちんと閉じていく」と説明。そういう物語を今つくるべきではないか、お客さんが見たがっているのではないかと考えたという。
また、「ロードムービーですので、各地の扉が開いていくことになりますので、様々な扉が劇中に登場する」と付け加えた。
③映画館に足を運ぶ理由となるような作品
新海監督は、自身もネット配信のドラマをよく見るとした上で、「『すずめ』があるから映画館に行きたいなというふうに人々に思っていただけるような映画作りを目指している」と話した。
映画館は「人間の特別な能力を発揮する場所」と指摘。「映画館に実際に足を運んで暗闇の中で座って集中して大きなスクリーンを見る」ことで、物語に没入したり感情移入したりする人間の能力が最も強く引き出されると話した。
今、新作映画『すずめの戸締まり』を作っています。列島各地に開いてしまう、災いの扉。主人公の鈴芽(すずめ)がその扉を閉めて旅をするロードムービーであり、現代の冒険物語であり、彼女がある存在と共に戦うアクションムービーでもあります。楽しい映画になるはずです。2022年秋どうかお楽しみに! pic.twitter.com/26prU74yaY
— 新海誠 (@shinkaimakoto) December 15, 2021
■コロナ禍の「願い」が込められた作品
会見では、記者からの質疑応答の際、新型コロナウイルスの影響について問われた。
新海監督は、「コロナ禍そのものを舞台にしたとしても映画が公開される時期とズレがある」とし、「迷った結果、『すずめの戸締り』という世界では、コロナを連想させる部分はなくはないですが、ただそのものを描くことはしていない」と話した。
キャラクターはほとんどマスクをしていないとした上で、「作っている最中の願いのようなものは込めている」と振り返った。
新海監督は、「本当はロードムービーなのだから、各地に行って、その場所に泊まって、その空気を吸いながら物語を描きたかった」と話し、「今はそれはできないけれども、この映画が公開される頃には、そういうことが当たり前にできるようになればいいなという渇望のようなものがフィルムに込められている」と胸の内を明かした。
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『すずめの戸締り』に新海誠監督が込めた「願い」とは? コロナ禍に製作される“ロードームービー”