名古屋出入国在留管理局に収容中のスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が死亡した問題をめぐり、入管の人権侵害の問題に取り組む全国のネットワークが近く結成される。
ウィシュマさんの死亡事件の真相究明に向けた運動のほか、外国人の収容や送還のルールを見直す入管法改正案の廃案を求めていくという。
新たにたち上がる団体名は、「入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合」。12月11日午後に結成大会を開く。呼びかけているのは、「ウィシュマさんの死亡事件の真相究明を求める学生・市民の会」「BOND〜外国人労働者・難民と共に歩む会〜」など14の団体・個人。
結成大会を告知するサイトで、呼びかけ団体らは「司法の監督・審査を一切受けることのない全件収容主義、無期限収容及び強大な裁量権を骨格とする戦後入管体制が、この(ウィシュマさんが死亡する)事件を引き起こしたのです。この戦後入管体制の背景には、民族差別に根差した入管政策があります」「外国人を敵視し、徹底して管理・抑圧するこの戦後入管体制を根本から変えなければなりません」などと訴えている。
ウィシュマさんの死亡をめぐっては、遺族が11月、管理局の当時の局長らに対する殺人容疑の告訴状を名古屋地検に提出し、受理されている。
「許しがたい人権侵害の体質変える」
入管法改正案は、難民認定申請中の送還停止に回数制限を設け、3回目以降は証明資料がない限り手続き中でも退去させることを可能にする内容などを盛り込んでいた。この改正案をめぐり、政府・与党は5月の国会での成立を断念。事実上の廃案となった。一方で、2022年の通常国会での再提出を目指す動きも報じられている。
「全国市民連合」の呼びかけ人の一人で、ウィシュマさんの遺族側代理人の指宿昭一弁護士は、取材に「『入管法改悪法案』を廃案に追い込むことができたのは、若い世代を中心にした市民運動の力があったから。それを一時的なものに終わらせることなく、入管の許しがたい人権侵害の体質を変えていくために、全国的な団体が必要です」とコメントした。
「全国市民連合」への入会や、結成大会へのオブザーバーとしての参加は、支援団体「TRY」のサイトから申し込める。
(國崎万智@machiruda0702/ハフポスト日本版)
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
入管の人権侵害を追及する「全国市民連合」結成へ。ウィシュマさん死亡の真相究明求める