「最後の石炭火力発電所を閉鎖」。ポルトガル、EUで4番目の発電のために石炭を使用しない国に

ポルトガルで最後に残っていた石炭火力発電所が閉鎖され、発電のために石炭を使用しない国となった。euronewsによると、EU(欧州連合)ではベルギー、オーストリア、スウェーデンに次いで4番目だという。

この発電所はポルトガル中部にある「ペゴ火力発電所」で、今月末まで運転免許は有効なものの、11月19日に発電所に石炭の在庫がなくなり、停止されたという。

ポルトガルの環境団体「ZERO」は声明を発表し、長年にわたって国内で2番目に二酸化炭素の排出量が多い発電所だったとした。

一方、ポルトガルの電力の60%〜70%は再生可能エネルギー源から供給されているものの、依然として全体的なエネルギー需要を満たすために輸入化石燃料に大きく依存しているという。

石炭を化石ガスや持続可能性のないバイオマスに置き換えるのではなく、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの割合を拡大すべきだとも指摘されている。

石炭火力発電、日本では? なぜ廃止できないのか

経済産業省の2020年6月末時点のまとめによると、石炭火力発電所は全国に150基ある。経産省はCO2排出量の大きい石炭火力発電所を減らすため、新たな基準などを設けて発電効率の高い発電所に絞り込む方針だ。

2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、石炭火力について「今後、再生可能エネルギーを最大限導入する中で調整電源としての役割が期待されるが、電源構成における比率は、安定供給の確保を大前提に低減させる」としている。

一方で、こうも記述する。

「現時点の技術・制度を前提とすれば、化石燃料の中で最もCO2排出量が大きいが、調達に係る地政学リスクが最も低く、熱量当たりの単価も低廉であることに加え、保管が容易であることから、現状において安定供給性や経済性に優れた重要なエネルギー源である」

現在、日本の電源構成の約3割を占める石炭火力。

第6次エネルギー基本計画では、2030年度の時点で発電量の19%を石炭火力でまかなうとしているが、「エネルギー安全保障の観点から、天然ガスや石炭を中心に適切な火力ポートフォリオを維持」するとして、“ゼロ”にする姿勢は示していない。

イギリス・グラスゴーで10月末から開かれていた、地球温暖化対策を政府間で議論する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、石炭火力発電所の段階的な削減の方向性が合意文書に明記された。

だが、石炭火力発電をめぐっては「段階的な廃止」を求める声が強かったものの、インドなどの反発が強かったことから「段階的な削減」と表現が後退した。

フランスは2022年、イギリスは2024年、ドイツは2038年に石炭火力を廃止すると表明している一方、日本は廃止時期を明示していない。 ドイツでは12月上旬にも新政権が発足するが、条件付きながら8年前倒しし、2030年に廃止する方針を示している

G7の一員でもある日本のこうした姿勢に対しては、「日本も石炭火力は廃止すべき」「再生可能エネルギー政策が実行されるよう、政府に働きかけて」などの声が上がっている

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