女性に対するSNS上の誹謗中傷や差別的な投稿をなくし、女性たちが安心して発言できるインターネット環境を目指す活動グループ「オンライン・セーフティー・フォー・シスターズ」が発足した。
10月11日に記者会見が開かれ、呼びかけ人の一人でアクティビストの石川優実さんは「私たち(被害者)の側が(SNSの使用を)やめるのではなく、(誹謗中傷を)する側に、これはやってはいけないよとしっかりと示していくために活動していきたい」と訴えた。
メンバーは、石川優実さん、コラムニストの伊是名夏子さん、市民活動家の菱山南帆子さん、編集者の山田亜紀子さん。団体は、主に以下の3点を活動の柱とする。
・SNSでの誹謗中傷による自殺撲滅
・SNSのプラットフォーム事業者に、差別解消を義務付ける法制化の呼びかけ
・オンライン上のヘイトスピーチ解消に向けた取り組み
「#KuToo」運動の呼びかけ人として知られる石川さんによると、女性差別の問題に声を上げるようになってから、ネット上の誹謗中傷が特に増えたという。
「自殺しろ」「コロナで死ねばいいのに」といった中傷の書き込みの事例を挙げ、「こういうものを2年間毎日受け続けていると、私って生きていていいのかなという気持ちになってしまう」と打ち明けた。
「声を上げないと変わらない。まずは、誰でも声を上げられる環境を整えることが大事だと思っています」(石川さん)
伊是名さんは、鉄道会社の不十分な合理的配慮の問題を提起したブログを4月に公開した後、ネット上で誹謗中傷を受けたり、デマを拡散されたりする被害にあった。
さらに、自宅の住所をネット上で公開されたほか、パートナーの勤務先にクレームの電話がかけられるなどして「生活がズタズタにされていっている」と話す。
「何人もの人に、『ネットの書き込みなんか気にしなければいい』『見なければいい』と言われました。それがとても苦しかったです。『時間がたてばおさまる』というのは何の問題解決にもなっていません。加害者の責任を問い、プラットフォームを改善することが必要です」
菱山さんは、小田急線の電車内で9月、乗客たちが男に襲われた事件の後、犯行に使われた凶器と同じ種類の包丁の写真と、菱山さんの写真が並べられた上に「よく切れますよ」などと投稿されたことを報告した。
グループの活動に協力する尾林芳匡弁護士は、メンバーたちが受けた被害のうち、刑法上の名誉毀損罪や脅迫罪に該当したり、民事上の損害賠償責任が発生したりする可能性がある事例は「非常に多い」と指摘。「被害者が一人で悩む構図そのものをなんとかしないといけない」として、法的措置を含む中傷対策を進めると強調した。
団体は、SNSのプラットフォーマーに対し、違法な投稿の削除や苦情対応などを義務づける法整備を求めていくことも検討しているという。
Source: ハフィントンポスト
女性を標的にしたネット中傷やハラスメントの防止を。石川優実さん、伊是名夏子さんら団体設立