Chromebookに搭載されているChrome OSは、GoogleがLinuxカーネルをベースにして開発したOSであり、自動更新によって最新の機能やセキュリティを提供しています。ところが、新たなバージョンに「たった1文字のタイプミス」が含まれていたことにより、Chrome OSを自動更新した大量のデバイスがログイン不可になってしまったと報じられています。
たった1文字のタイプミスで大量のChrome OSデバイスがログイン不可になってしまう
Chromebookに搭載されているChrome OSは、GoogleがLinuxカーネルをベースにして開発したOSであり、自動更新によって最新の機能やセキュリティを提供しています。ところが、新たなバージョンに「たった1文字のタイプミス」が含まれていたことにより、Chrome OSを自動更新した大量のデバイスがログイン不可になってしまったと報じられています。
Google messed up all those Chromebooks yesterday because of a single typo
https://www.androidpolice.com/2021/07/20/a-new-chrome-os-91-update-is-breaking-chromebooks-like-a-bull-in-a-china-shop/
Google pushed a one-character typo to production, bricking Chrome OS devices | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2021/07/google-pushed-a-one-character-typo-to-production-bricking-chrome-os-devices/
Chrome OSは数週間ごとにOSのフルアップデートをリリースしているほか、バグの修正やセキュリティの向上に関連したアップデートも頻繁に行っています。自動更新機能を有効にしているChrome OSユーザーは、最新のバージョンが利用可能になるとOSが自動更新され、常に最新の機能やセキュリティを保つことができるとのこと。
ところが、問題のあるChrome OSのバージョンに自動でアップデートされてしまったことにより、多くのユーザーが被害を受けることもあります。実際に、Googleが2021年6月末にChrome OSの「バージョン91.0.4472.147」をリリースした際、アップデートした一部の機種でCPU使用率が過剰に高くなってしまい、深刻なパフォーマンスの低下が発生しました。
このCPU使用率の問題は、Googleが前のバージョンにロールバックし、修正した「バージョン91.0.4472.147」をリリースするなどして解消されましたが、その後リリースされた「バージョン91.0.4472.165」でも新たな問題が発生しました。今回のバージョンでは、Chrome OSをアップデートした多くのユーザーから、パスワードを入力してもログインできない状態になってしまったり、ブートループ(再起動ループ)に陥ってしまったりしたとの報告が上がっています。
Chromebookにログインできない問題に直面した人の中には、デバイスを製品出荷時の状態に戻すPowerwash(パワーウォッシュ)を実行するか、リカバリーUSBを使用して問題を解消する人もいました。しかし、この操作によって重要なファイルが失われてしまったユーザーもおり、多くの被害が出ているとのこと。
by Luis Roca
「バージョン91.0.4472.165」にアップデートしたChrome OSデバイスにログインできなくなってしまう原因について、海外掲示板・Redditのelitist_ferret氏というユーザーは、「たった1文字のタイプミス」が原因だと指摘しています。
elitist_ferret氏がオープンソースであるChrome OSのコードを確認したところ、以下のようなif文のコードがあったとのこと。
if (key_data_.has_value() & !key_data_->label().empty()) {
ところが、実際に記されるべきコードは以下であり、上記のコードは「value()」の後に続く「&」の数が正しいものより1個少なくなっています。このたった1文字のタイプミスにより、Chrome OSがログイン情報を適切に復号できなくなってしまったとみられています。
if (key_data_.has_value() && !key_data_->label().empty()) {
Googleは2021年7月21日に、「バージョン91.0.4472.165」の問題を解消した「バージョン91.0.4772.167」をリリースしたため、ユーザーはアップデートを適用することでChrome OSにログインできるようになりました。しかし、テクノロジー系メディアのArs Technicaは、今回のような深刻な問題があるアップデートがテストを通過して多くのユーザーに配布されてしまったことは、Chrome OSに悪影響を与えるだろうと指摘しました。
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Source: ギガジン
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