新型コロナの影響から家にいる時間が増え、ごはんを家で食べる機会が増えました。家事の大変さがあらためて浮かび上がります。
日々のごはん作りを担当されている方、毎日本当におつかれさまです!
炊事に関するお悩み、共有していきませんか。そして「誰かに作ってもらっている人」も、ぜひ読んでください。ねぎらい合うためのヒントが、必ずやあると思います。
第14回 東京都 つかれたみーこさん 47歳
家事、育児、その他雑用のすべてを担当してます主婦です。夫がずっと在宅仕事になり、飲み会もなくなりました。
「おまえは食に対する意識が低い」
「アンタの料理は食べられればいいや、だよね」
「家で酒を飲みながらもっと楽しめるようにしてほしい」
毎日お小言を言われてグッタリです。家族で楽しめる料理とはどういうものでしょうか? ご教示をお願いします。
いやいやいや、まず私は心配ですよ、みーこさん。このメッセージだけではどういう家庭状況なのか詳しくは分かりませんが、まず「おまえ」問題。
みーこさんと夫さんの間のこととは思いつつ、口を挟むようでなんですが、パートナーとの関係で「おまえ」って呼び方、私は無いなあ……と思っちゃうんですね。そこからまず、気になってしまった。
「おまえ」って私はね、私はですよ? 「目下の人間に対して使われがちな乱暴な呼びかけ」だと思うんですよ。そして夫さん、「アンタ」とも呼ぶんですね。
もちろん、みーこさんがOKなら私が口を出すことじゃない……かもですけど、おまえやアンタと呼ばれて、嫌ではないですか? そこ、我慢する必要ないことですよ? 「つかれたみーこ」というハンドルネームをお使いですが、日々の呼びかけひとつからも精神的に疲れてしまっているんじゃないのかな、と察した次第です。深読みしすぎだったらいいのですが……。
もちろん「おまえ」や「アンタ」って呼びかけでも、あったかいものが伝わってくるケースや関係性もありますよ。極端かもですが「てめえ」「このやろー」なんて日常的に呼びかけてても、愛情豊かなカップルだっていますしね。
しかし正直、私は夫さんのリクエストを読んで「随分と相手に甘えてるなあ、甘えすぎだな」と思っちゃいました。
みーこさんは「家族で楽しめる料理とはどのようなものでしょう?」と書かれました。しかし夫さんは「楽しませてほしい」と言っている。そこには、みーこさんがいない。自分だけ楽しみたいと言っているようにも聞こえます。夫さんを楽しませるのもみーこさんの家庭内での「役割」なのでしょうか。
家事、育児、その他雑用に加えて、さらに夫さんからの「お小言」で疲れているのに、それでもなお「楽しい料理とはどういうものか」と考えて、応えてあげたいと思うあなたの気持ちは本当にすごいな、と感じ入りました。
ただ無理をしていないか、つらいのを我慢して夫さんに接していないか、まずそこを考えてほしいです。送っていただいた部分の話だけですと、夫婦間の甘えや夫のワガママというのを超えて、ハラスメントであると私は感じました。
何らかの形で相手を楽しませたとて、人間って「もっと」を要求してきます。「もっと他のを考えて」「飽きたからもっと違うのを」となりがちなもの。「楽しませて」というリクエストにずっとつきあっていくことは、できません。
さしでがましいようですが、夫婦や家族間では、「どちらかを楽しませる」よりも「一緒に楽しむ」という形でないと、いつか破綻が来るのではないでしょうか。
「楽しい食事時間の形」って、本当に人それぞれ、家庭ごとにそれぞれだと思います。それを実現するために大事なことは、「料理担当の人が、強制されない、無理のない形で家族への食事作りを行えている」ことだと思うんですね。
担当者が精神的にしんどい状態にあるとき、他の家族から何かプレッシャーをかけられているときは、家族で楽しい時間を持つなんて、無理なこと。家事は自己を犠牲にしてまでやってはいけないと私は思っています。
「おまえは食に対する意識が低い」という言葉もねえ……。そんなこと言ったら、夫さんは家族に対する意識が低いな、と私は思ってしまいましたよ。いえ、きっと夫さんのいい部分もいろいろとみーこさんにしたらあるのでしょうけどね。
繰り返しますが、相手を気遣う前に、まずは自分を大切にしてほしいです。家事として担当しているのは食事の用意。それ以上は別にやらなくていいこと、と割り切って考えてもいいんじゃないですか?
うーん。私だったら、「あなただけじゃなくて、私も一緒に食事の時間を楽しみたい。だって夫婦なんだもの。お互い一緒に楽しくありたいと思うんだけど、あなたはどう思う?」なんて聞いてしまうかもしれません。
みーこさん、どうでしょうか。
※引き続き、日々の自炊、食事の用意に関してつらいこと、悩んでいること、大変に感じていること、こちらから自由にお送りください。お名前(ハンドルネーム可)、年齢、できればお住まいの地域もご記入ください。
白央篤司(はくおうあつし)
1975年生まれ。「暮らしと食」、郷土料理やローカルフードがメインテーマのフードライター。CREA WEB、Hot Pepper、サイゾーウーマン、hitotemaなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』『自炊力』『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』など。家では炊事全般と平日の洗濯、猫2匹の世話を担当。Twitter、ブログ
(編集:笹川かおり)
Source: ハフィントンポスト
「『アンタの料理は食べられればいいや、だよね』と夫に言われて」 ←ごはん作り担当からの悩み、心配です。