厚労省の薬物対策の有識者会議で議論されている『大麻使用罪』の創設に反対する1万4761筆の署名や意見書が5月23日、厚労省に提出された。
署名の呼びかけ・提出をしたのは、亀石倫子氏ら弁護士の有志。日本臨床カンナビノイド学会からの要望書も合わせて提出された。
犯罪化によって、使用者の社会での孤立やさらなる偏見を招くとして「排除することで得られる社会の利益よりも、弊害の方がはるかに大きい」と反対の理由を挙げている。
厚労省は2021年1月、「若年者の大麻使用が拡大している」との懸念から有識者会議を設置し、大麻取締法に『使用罪』を創設するかなどが議論されている。
意見書は、『使用罪』創設に反対する理由として「そもそも大麻には刑罰を持って使用を規制しなければならないほどの有害性があるのか、という点に関する科学的根拠が乏しい」と指摘している。
厚労省が有識者会議で示した資料には、大麻所持で逮捕された人を対象とした、使用罪がないことと使用との関係についての調査結果が載っている。
使用罪がないと知っていたことが、「使用のきっかけとなった」と答えたのが27人(5.7%)、「使用に対するハードルが下がった」は72人(15.3%)だった、というものだ。
この点について「使用罪がないことと大麻の使用が増加していることとの因果関係が明らかでなく、立法事実が存在しない」と意見書で訴えている。
さらに『使用罪』創設により、逮捕される若年層の社会での孤立や、『犯罪者』というレッテルばりといった弊害を招く恐れがあると言及。「排除することで得られる社会の利益よりも、弊害の方がはるかに大きい」と訴えている。
カンナビノイド学会の要望書でも、大麻について「将来的な医療利用を見据えて、大麻使用に伴う罰則の制定を見送ること」を求めている。
亀石氏は、署名提出後の記者会見で「大麻を含む薬物は、偏見が根強いと感じている。タブー視されていて、地上波のメディアでも取り上げにくく、理解もなかなか進まない」と説明。
厳罰ではない形の一次予防のあり方を問われると、「若ければ若いほど、使用期間が長ければ長いほど、人体に有害というデータが出ている。それを防ぐとしたら、お酒やタバコのように管理下に置くこともあり得るのではないか」という考えを明かした。
有識者会議の中でも、海外での研究として「若い年齢で大麻を使い始めることで依存症になるリスクが上がるということが報告されています」と紹介されている。
亀石氏は続けて「若ければ若いほど、刑罰の弊害が大きいという前提で議論してほしい」と訴えた。
日本臨床カンナビノイド学会の正高佑志理事は「厳罰化して、負の烙印やスティグマを植え付けるべきでない。依存症は健康問題で、提供されるべきは治療だ」と語った。
有識者会議は5月28日に第7回目が開かれる予定。前回に続いてとりまとめに向けた議論が交わされる。
Source: ハフィントンポスト
『大麻使用罪』創設に反対する署名、厚労省に提出。発起人「若いほど刑罰の弊害が大きい前提で議論して」