JK「はい!」
母「もう三年なので厳しいとは思いますが、出来る限りのことはしたいと……」
女社長「それで家庭教師をというわけですね」
JK「お願いします!」
女社長「では、とっておきの家庭教師をご紹介します」
JK「ホントですか!?」
女社長「ただ……性格にちょっと難がありますけど」
家庭教師「初めまして」
JK「は、はじめまして」
家庭教師「俺がお前の担当につくことになった。人呼んで“家庭教師のドライ”だ」
JK「家庭教師のドライ……?」
家庭教師「ちなみに志望大学はどこだ」
JK「○×大ですけど……」
家庭教師「無謀だな。今の成績から一年で○×大はあまりにも無謀すぎる」
JK「う……!」
JK「可能性あるんですか!」
家庭教師「ただし、俺の指導にちゃんとついてこられればの話だが」
JK「ついていきます!」
家庭教師「誰だって最初はそういうんだ。だが、すぐ音をあげる」
JK「そ、そんなことない!」
家庭教師「ならば口だけでないところを見せてもらおう。さっそく今日からお前の家に行く」
JK「きょ、今日から!」
女社長「こういう家庭教師なんです……」
母「た、頼もしいですわ」
家庭教師「結構です。飲んでる暇などありませんので」
母「し、失礼しました……」
家庭教師「授業を始めるぞ」
JK「はい!」
家庭教師「まず、この問題から……」
JK「……!」
JK(この人の授業、淡々としてるけどとても分かりやすい……)
JK「あの、とても分かりやすいです! 教え方上手ですね!」
家庭教師「褒める必要などない」
JK「え」
家庭教師「俺を褒めるのは合格してからでいい」
JK「ご、ごめんなさい」
JK「ふぅー、疲れた」
家庭教師「しっかり復習しておくように。授業なんていうのは復習しなきゃなんの意味もない」
JK「は、はいっ!」
家庭教師「また明日来る」
バタン…
JK(雑談とか一切しないし、ホントにドライだった……)
家庭教師「ここはこうだ」
JK「あの……」
家庭教師「なんだ」
JK「ちょっと休ませてくれませんか? 疲れちゃって……」
家庭教師「ダメだ。休む暇などない」
JK「だけど……」
家庭教師「○×大に受かりたいんだろ。あれはウソだったのか」
JK「分かりましたよ……やります!」
家庭教師「正解だ」
JK「自力でこんな難問を解けちゃうなんて嬉しい!」
家庭教師「じゃあ次の問題だ」
JK「あ、あの……ちょっとは余韻に浸らせて下さいよ!」
家庭教師「余韻? そんなものに浸るのは合格してからで十分だ」
JK「はーい……」
家庭教師「なんだ」
JK「ここなんですけど……」
家庭教師「ああ、これは――」
JK「ありがとうございます!」
JK「あと、これも分からないんですけど……」
家庭教師「こんなの入試に出ないから必要ない」
JK「え、でも、気になっちゃうんですけど……」
家庭教師「不要だ」
JK「受験に役に立たないことは全部切り捨てちゃうんですか!」
家庭教師「そうだ」
JK「こうまで言い切られるともはや何もいえない……」
「自信あるー?」 「全然勉強してなーい」 「A判定取るぞ!」
JK(今日は夏休み前の模試……)
JK(数ヶ月間私なりに頑張ってきた……その成果を出せるよう頑張るぞ!)
試験官「では始めて下さい」
JK「……」ババッ
カリカリ… カリカリ…
JK「はい! 結構いい点でしょ! ちょっとは可能性あるって出ました!」
家庭教師「この時期の模試の判定なんてのは甘く出るものなんだ。気休めにもならん」
JK「だけど努力の成果は出たかと……ちょっとぐらい褒めてくれたって……」
家庭教師「褒める? 俺が褒めるのは合格した時だけだ」
家庭教師「模試の話は終わり。授業を始めるぞ」
JK「先生ってホントドライ!」
JK「今日から夏休み! はりきって……」
家庭教師「勉強だな」
JK「う……。今日一日ぐらい遊んだって……」
家庭教師「お前は自分の立場を分かってるのか。ライバル達に比べてまだまだ遅れてるんだ」
家庭教師「追いつくにはこの夏休み、一日一時間一分一秒も無駄にできない。分かったな」
JK「はいはい、頑張ります!」
家庭教師「……」
JK「先生、一枚脱いでいい?」
家庭教師「好きにしろ」
JK「先生、女子高生がこんな薄着になってるのになにも感じないの?」
家庭教師「何も感じん」
JK「汗すらかいてないし、ドライすぎるよ!」
Source: みじかめっ!なんJ
女子高生「家庭教師のドライ……?」