旧車の妙味、三角窓の風と吸排気音
(中略)
いすゞは16年創業の名門メーカーとして、トヨタ自動車や日産自動車と共に国内自動車「御三家」とも呼ばれた。しかし、価格帯が高い少品種生産にこだわった乗用車の販売シェアは低迷を続け、93年に自社生産から撤退。細々と続けていたOEM供給販売やSUV生産も2002年までに終了した。(中略)
好景気と円高が支えたコラボ(中略)
世代を超えて愛される独創性
先月、いすゞはトヨタとの業務資本提携を発表した。世界的な脱炭素の動きを踏まえ、トラック国内2位の日野自動車も巻き込んで次世代技術研究を進める。乗用車の自社生産撤退から30年近く経ち、その間に業界の景色は一変した。良いクルマの指標は耐久性や豪華さから、安全性や燃費へと変わりつつある。メーカー間の世界的な合従連衡は、研究開発コストの抑制と生産合理化が一番の狙いだ。しかし、そんな味気ない時代だからこそ、いすゞ乗用車のマニアックな独創性はいっそう際立つ。「商用車を主力とする財閥系メーカーのいすゞでは乗用車部門が傍流だったため、採算度外視で理想主義的な、夢のあるクルマ作りができたのでは」と熊木さんは話す。
イスズスポーツでは近年、ユーチューブやSNSでの情報発信に力を入れている。28歳の店舗スタッフ「担当Y」さんが自らステアリングを握り、入庫車両を紹介。往時を知らない世代ならではの新鮮な驚きや発見を交えながら、その魅力を伝えている。紹介動画を見た若い人からの問い合わせも増えているという。
いまだ世代を超えて愛される、いすゞの乗用車。そんな個性あふれる旧車に手を入れながら大事に乗り続けるのもまた、エコな新車に乗るのと同じくらいエコなライフスタイルのはず。そう担当Yさんは胸を張る。「こういったクルマはもう二度と世に出てこない。大事に整備しながら、一台でも多く後世に残していきたい」(北林慎也)
朝日新聞 2021/4/26 7:00
https://www.asahi.com/sp/articles/ASP3Y7FT8P3YDIFI004.html?ref=tw_asahi
続きを読む
Source: 車速報
いすゞ乗用車が根強い人気 専門店で見た「街の遊撃手」