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「コロナ自粛中、排便やうんちの状態に変化」が約半数、“うんちのタブー視”に挑む排便ログアプリ「ウンログ」

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「新型コロナによる自粛で生活が変わった人のうち、排便やうんちの状態に変化が起きたと感じたのは49.9%。仕事や不安といったストレスや運動不足から、便秘傾向になったと考えられます」

こう話すのは、ウンログ代表取締役の田口たかしさん。

ウンログ」は、田口さんが開発した世界初の“排便ログアプリ”だ。2012年にリリースしし、2020年に70万ダウンロードを達成。新型コロナの影響もあってアクティブ率は前年比238%になった。

「うんちを記録して健康管理を」。田口さんがそう考え、“うんちのタブー視”に挑む理由、ヘルスケアの未来について聞いた。

うんちから自分の体の内側が見えてくる

――「ウンログ」は、日々の排便を記録して健康管理をするアプリです。そもそも、なぜ排便を記録することで健康管理ができるのでしょうか。

うんちは健康のバロメーターだからです。食べた物は、口に入れてからおよそ24~72時間後に便になるといわれます。体を通って排泄されるうんちには、その人の体の状態が如実に表れているのです。

「ウンログ」のアプリでは、うんちを記録すると「かたち」「色」「量」「におい」「すっきり感」の5項目から100ポトン満点で評価されます。これは「ウンスコア」という独自の健康スコア。「ブリストルスケール」というイギリスのブリストル大学で定められた国際的な便の診断基準を元にしており、排便日誌が必要な患者さんにも利用されています。

体質改善の近道は、腸内環境を整えること。アプリには腸活記録の機能もあり、「観便で腸内環境の課題を見つけ、腸活で改善する」というサイクル作りにつなげてほしいと考えています。

――便秘や下痢などの問題をチェックするために便を記録するのではなく、便の記録することで体内の見えない変化を探るのですね。

うんちの状態を数値化することで自分の健康状態をつかみやすいため、生活習慣の改善や腸活を継続するモチベーションにつながります。

一番の意義は、ログを続けることで、食べ物や睡眠時間、運動、入浴といった生活習慣が、自分の体にどう影響するかわかること。

例えば、僕の場合は、小麦粉を食べた翌日にうんちがどろっとしたり便秘気味になったりするだけでなく、小麦粉を食べた後に運動をするとじんましんが出ることにも気づきました。

 

――自分の体質がわかると、不調を予防する対策もしやすくなりますね。

ただダイエットや筋トレのように(記録を)義務化すると記録が続かないので、楽しく継続したくなるUI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)を目指しています。

特に、うんちのイメージが「臭い」「汚い」「気持ち悪い」から、「かわいい」「楽しい」「わかりやすい」に変わるよう、(アプリ内の)世界観やコミュニケーションの取り方にはかなり配慮をしています。

 

――どんなユーザーに使われているのでしょうか?

ウンログのユーザーは9割が女性。男性ユーザーは健康意識の高い人かアスリートがほとんどで、一般的には下痢でも「毎日出てるから」と問題視しない人、そもそもうんちを意識したくない人が多いですね。男性の場合、明確な課題があれば熱心に取り組む傾向にあるので、うまくスイッチを入れられればと思います。高齢者やお子さんの健康管理にも活用してほしいと考えています。

 

うんちを記録するアプリ、銀行もAppleにも理解されず… 

――まだ「腸活」という言葉にも広まっていなかった2012年に、なぜウンログを開発しようと考えたのでしょう?

僕自身が、観便と腸活をくりかえして健康状態を改善した経験があるんですよ。僕は小さい頃から便秘がちで、大人になってからは仕事のストレスで下痢続き…と、ずっと便のことで悩んできました。

腸活を始めたきっかけは、花粉症の治療のため。病院で医師に腸内環境を整えるよう指導され、食事に発酵食品を取り入れたり、食物繊維を意識したり、油物を控えたりするようになって。すると、まず便が改善し、数年後には花粉症も大きく改善したんです。

 

――医療だけでなく、子育てや介護の場でも、便は健康状態を知るツールとして認識されています。それなのに一般的に便について語られることはほぼなく、どちらかというとタブー視されていますね。

そうなんですよ。当時は「うんちをロギングするツール」自体、存在しなかったので、事業面でもさまざまな冷遇を受けました。銀行の創業融資は「事業内容が理解できない」と審査に通らず、LINEスタンプは申請してもはねられ…。

iOSアプリも「うんちは不可」と何度も何度もリジェクト(却下)されて。最終的には人づてでAppleのアジアパシフィックの担当者にアポをとり、本社まで行って1時間あまり英語で「これはヘルスケアサービスだから」と直談判したんです。お金も時間もかかる交渉でした。

 

コロナ禍、51.3%の人の排便やうんちの状態に変化

――コロナ禍、ヘルスケアへの関心は高まった印象があります。

感染症の流行、自宅時間の増加で、自分自身の体に興味を向けた人が増えたのでしょう。ウンログでも2020年にアプリのダウンロード数が70万を記録し、アクティブ率が前年の238%になりました。

ユーザー3000人を対象に実施したアンケートによれば、新型コロナによる自粛で生活が変わった人のうち、49.9%が排便やうんちの状態に変化があったと回答しています。多かったのは、「トイレに行く回数が減った」(56.0%)、「便秘になった」(43.3%)という声。仕事や新型コロナウイルスへの不安といったストレスのほか、運動不足にも起因すると考えられます。

一方で、満員電車や職場の人間関係などのストレスから解放され、便通が改善した人も。食事の時間が増えたというデータもあるので、食生活を気遣えるようになったことも一因だと推測できます。

 

――コロナ禍での人々の心身が、便の状態に反映していた、と。実生活では便はいまだタブー視されていますが、ウンログのBBSのコミュニティは、とても平和なのが印象的です。

ウンログのミッションは「すっきり革命を起こす!」。お腹の中から健康な人が増えるだけでなく、うんちやタブーについて気軽に話せる社会にもなってほしいと考えています。

ストレスが便秘につながるだけでなく、口にしづらい症状を誰にも相談できないまま悪化させてしまったり、気持ちを理解してもらえなかったりする人もいるからです。

アプリ内にあるBBS「ウントーーク」は、“心のお詰まり”を吐き出してもらうのが狙い。匿名性を保つなど安心して投稿できる環境作りをしており、お通じはもちろん仕事や家族の悩みも書き込まれています。 

“腸の多様性”を尊重できる社会に

――「ウンログ」の今後の展望についてお聞かせください。

一人ひとりが自分の腸内環境をデザインできる社会にすべく、排便ログの重要性をもっと広く認知させたいです。

今後は、IBS(過敏性腸症候群)などの正しい知識も広めたいですね。IBSは食生活に制限があり、「かわいそう」と見られがちな病気。制約のあるなかで食生活を楽しみ、健康を自らコントロールできることに満足している当事者の気持ちがもっと理解されるといいなと思います。

現在、アプリ内では病気リスクを図る機能をリリース予定です。9年間で膨大なデジタルデータがたまったので、オープンデータ化してうんちに関する研究を進める一助にもしたい。「うんちで健康管理」にさまざまな側面からアプローチし、幸福度の向上、健康寿命の延長につなげていきたいと考えています。

 

(取材・文:有馬ゆえ 編集:笹川かおり

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Source: ハフィントンポスト
「コロナ自粛中、排便やうんちの状態に変化」が約半数、“うんちのタブー視”に挑む排便ログアプリ「ウンログ」

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