アメリカは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が特に激しく、2021年1月6日時点で2110万人が感染し35万7000人の死亡が確認されています。感染者がわずか1カ月間で40万人以上も急増したというカリフォルニア州では、「生存可能性が小さい患者は救急車に乗せない」という判断が下される事態となっています。
救急隊員が生存の見込みがない患者の搬送をストップしだしている
アメリカは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が特に激しく、2021年1月6日時点で2110万人が感染し35万7000人の死亡が確認されています。感染者がわずか1カ月間で40万人以上も急増したというカリフォルニア州では、「生存可能性が小さい患者は救急車に乗せない」という判断が下される事態となっています。
L.A. hospitals can’t keep up with COVID-19 surge of illness – Los Angeles Times
https://www.latimes.com/california/story/2021-01-04/los-angeles-hospitals-cannot-keep-up-covid-19-surge-illness
ロサンゼルス・タイムズの伝えるところによると、カリフォルニア州のロサンゼルス郡救急医療サービス局は2021年1月4日に救急隊員に対し、「酸素飽和度が90%以下の患者のみに酸素吸入を行わせること」を(PDFファイル)指示し、酸素の節約を命じました。また当局は「事実上の生存可能性がない患者を病院に移送しないように」とも(PDFファイル)指示しています。
「事実上の生存可能性がない患者」とは、心拍が停止している患者や、蘇生を行っても呼吸・脈拍・血圧に兆候が見られない患者、現場で死亡が宣言された患者を含みます。COVID-19が流行しだす前は、病院に患者を受け入れる余裕があったため、生存可能性が小さくても患者の移送は行われていました。しかし、2021年1月時点では、蘇生によって容体が安定した患者のみが病院に運ばれるとのことです。
このような措置が講じられた背景には、ロサンゼルスの医療が窮迫していることがあります。1月3日の時点でロサンゼルス郡で7898人のCOVID-19陽性患者が入院し、うち1627人が集中治療室(ICU)でケアを受けていました。緊急治療室は患者であふれ、救急車で搬送されてきた患者が病院に入れず8時間も救急車内で待機を要されることも。この間、救急車は患者の搬送を行えませんでした。
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事態に対処するため、当局は一時的な措置として、緊急治療室の手前に救急車で搬送されてきた患者を受け入れる仮設の「患者受け入れスペース」を作ることを考案。通常時であれば1人の患者に対し1人の救急隊員がつけられますが、患者受け入れスペースでは1人の救急隊員が最大4人の患者を見ることになります。
また、カリフォルニア州は陸軍のエンジニアを派遣し、ロサンゼルス郡の古い病院にある酸素供給システムをアップデートしたことも伝えられています。加えて、病院の外でも患者が酸素吸入器を利用できるように、家庭での酸素利用サポートを強化しているとのこと。
このほか、病院の負担を軽減するために管理要件の緩和も行われています。心臓発作や脳卒中の患者は、必ずしも入院する必要はありませんが、看護支援を受ける必要はあります。病院外の看護施設に医療スタッフを派遣し患者を移せば、病院船を派遣したり野外病院を設置したりするよりも効率的であるため、病院の要件緩和により、看護師をより自由に配置することが検討されているとのこと。
これらは全て、今後起こりうる「最悪の事態」に備えてのことですが、感染者が急増すれば1000床以上が必要になる可能性があり、ロサンゼルス郡だけで対応することが困難になるとみられています。すでに多くの病院ではICUが実質上の満杯であり、危険な状態にある患者を廊下で治療せざるを得ない事態に陥っていると報告されています。
年末年始は検査数自体が少なかったため、感染者数の増加は比較的落ち着いていますが、2020年12月31日には外出禁止令が出ているにもかかわらず多くの人が年越しパーティーに参加しました。このためロサンゼルス郡公衆衛生ディレクターのバーバラ・フェラー氏は「今年の1月はこのパンデミックにおいて過去最悪の状況となりそうです。想像できないほどに」と述べています。
「コミュニティの感染率が非常に高いので、家を出る時はいつでもリスクにさらされるということを覚えておくべきです。目に見えない致死性のウイルスがいたるところに存在し、宿主を探しているのです。あなたや、あなたの大事な人をその対象にしないでください」とフェラー氏は呼びかけました。
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Source: ギガジン
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