女上司「コラッ、仕事中にゴルゴ13なんて読んでちゃダメでしょ!」
男「あ、す、すみません……」
女上司「ゴルゴ13は一度読むと止まらなくなっちゃうし、息抜きに読むには危険なの」
男「……?」
女上司「台詞も多いし、ストーリーが複雑だったりするし、仕事が終わった後じっくり読むのに最適……」
男「あの……課長って結構ゴルゴ13好きだったりします?」
女上司「!」ギクッ
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2: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/06/11(金) 20:06:47.242 ID:seo0P0bG0
男「ところで、課長はゴルゴ13のどういうところが好きなんです?」
女上司「そりゃもうM16を始めとした銃器を持って世界中を飛び回り……」
女上司「ひとたび依頼が成立すれば、たとえ依頼人が死んでも依頼をこなす」
女上司「大国の大統領にだって決して媚びず、我が道を行き……」
女上司「冷徹な殺人マシーンと思わせて、時折見せる人間味に胸が熱くなっちゃう」
女上司「って感じかな?」
男「だいぶ好きみたいですね」
女上司「大好きです。すみません」
女上司「何者って、世界を股にかけるスナイパーよ」
男「あ、いや、そうじゃなくて……どこの国の人間なのかなーって」
男「よく名乗ってる“デューク東郷”ってのも多分偽名ですよね?」
女上司「ゴルゴ13のルーツを探るエピソードはいくつかあるけど……」
男「そんなのあるんですか」
女上司「ファンブックの読者投票で一位にもなった『芹沢家殺人事件』」
女上司「自衛隊がゴルゴのルーツを探ろうとする『おろしや間諜伝説』」
女上司「ゴルゴが珍しく護衛任務を引き受ける『蒼狼漂う果て』」
女上司「中国情報部がゴルゴを調査する『毛沢東の遺言』」
女上司「あのカダフィ大佐も登場する『河豚の季節』」
女上司「ロマノフ王朝が絡んでくる『すべて人民のもの』」
女上司「引退したKGB工作員がゴルゴの謎を追う『禿鷲伝説』」
女上司「ルーツエピソードはどれもスケールが大きくて、完成度と人気が高いのが特徴よ」
男「沢山あるんですねー」
女上司「さあ?」
男「分からないんですか」
女上司「ええ。だけど、ファンは各々ルーツ編の中から“自分はこれだと思う”というエピソードを選んでることが多いわね」
男「ちなみに課長は?」
女上司「『すべて人民のもの』かなぁ」
女上司「このエピソードはオチもいい味出してるし、私の中でかなりのイチオシよ!」
男「今度読んでみます」
女上司「オススメっていわれても、あれだけの長期連載だもん。逆にパッと浮かばないわよ」
女上司「なにかテーマを絞ってくれない?」
男「じゃあ、ゴルゴがドンパチする系で」
女上司「そうねえ、ゴルゴがペンタゴンに育成された兵士と戦う『バイオニック・ソルジャー』」
女上司「炭鉱内に作られた基地にゴルゴが挑む『ミッション・イン・ヘル』」
女上司「砂漠で双子の傭兵と死闘を繰り広げる『傑作・アサルトライフル』」
女上司「『装甲兵SDR2』もいいかも。最新鋭パワードスーツとゴルゴの対決!」
女上司「あとゴルゴがネオナチと対決する話はオススメよ」
女上司「特に『狼の巣』でのフル装備ゴルゴはかっこよすぎ!」
男「そ、そうですか」
女上司「三人の男女の人生が複雑に絡み合う『シャーロッキアン』」
女上司「ゴルゴがなんと探偵役をこなす『容疑者トウゴウ』」
女上司「ゴルゴが狙撃をしない『バスを待つ人々』もちょっと変わった作品だけどオススメ」
男「ゴルゴが女性と絡む系だと……」
女上司「ゴルゴが苦悩する顔を見られる『白夜は愛のうめき』」
女上司「ラストシーンが素晴らしい『海に向かうエバ』」
女上司「底抜けに明るい女の子にゴルゴも微笑む『ミッドナイト・エンジェル』もいいわね」
女上司「あるんだなそれが」
男「え」
女上司「『間違われた男』ってエピソードがあるんだけど」
女上司「トニー・トウゴウっていうセールスマンがゴルゴと間違われて、マフィアの殺しの依頼をやらされる羽目になるの!」
男「ええっ、どうなっちゃうんですか!?」
女上司「自分で読んで」
男「はい……」
女上司「あと、売れない芸術家がゴルゴのおかげで大儲けする『アッシュ最良の日』もコミカルかも」
女上司「そりゃいっぱいいるよ」
女上司「ゴルゴのお馴染みガンスミス、デイブ・マッカートニーでしょ?」
女上司「何度も依頼人になった英国MI6部長のヒューム卿」
女上司「仲介役のマーカス・モンゴメリーに、すっかり準レギュラー化した南米の日本人記者梶本……」
男「敵キャラだと?」
女上司「ゴルゴも認めた好敵手スパルタカス、共闘もしたAX-3、盲目のスナイパーイクシオン」
女上司「予測射撃が得意なジョン・スミス、さっき紹介した『バイオニック・ソルジャー』に出てくるライリー」
女上司「雪山でゴルゴを追い詰めた中国の燐隊長もいいキャラしてたわ。極地法など登山家の恥だ!」
女上司「スイスの名刑事ジャヌー警部も忘れちゃダメね」
女上司「ミステリー作家でありながら、ゴルゴを追い詰めたマッジ・ペンローズも……」
女上司「他にも……ああ、多すぎてあなたをズキューンしたくなってくる!」
男「落ちついて下さい!」
女上司「うーん……個人的にイマイチだったなって作品はないことはないけど……」
女上司「だけどゴルゴは分業制で、シナリオライターも専門の人がいるから」
女上司「読めたもんじゃないってほどのひどい駄作ってのはないかな」
男「なるほど」
女上司「ゴルゴはほとんどが一話完結してるから、どこから読んでも大丈夫なのがいいよね」
男「それはありますね。最初から全部読まなくていいのが気楽です」
女上司「本一冊買って、どのエピソードもつまらないってことはないはずだしね」
女上司「?」
男「“最終回は既に書かれてて原稿が金庫に眠ってる”っていう」
女上司「ああ、それね。ただの都市伝説よ。たしかさいとう先生が否定してた」
男「そうなんですか」
女上司「だけど、連載をやめたい漫画家が自分を撃つようにゴルゴに依頼する……ってエピソードがあるのよ」
男「そんなのあるんですか!」
女上司「うん、『HAPPY END』っていうエピソード」
女上司「漫画家は防弾チョッキを着て狙撃させるんだけど……」
女上司「あのラストは『ゴルゴ13』という作品そのものの行く末を暗示してるのかも」
女上司「そうねえ。原発事故をテーマにした『二万五千年の荒野』に」
女上司「ゴルゴが白熊ハンターと会う『もう一人のプロフェッショナル』」
女上司「ベルリンの壁崩壊の裏に秘められた物語『真のベルリン市民』」
女上司「ある東欧の村が舞台の『静かなる記念日』、ボクシング王者が依頼人になる『13カウント』」
女上司「ゴルゴが死にかける『一万キロの狙撃』、三人のスナイパーがゴルゴを狙う『スナイパーたち』」
女上司「悪徳医者にスポットを当てた『ジンネマンの一時間』、クズダイヤで依頼を受ける『ガリンペイロ』」
女上司「ダイヤといったら『死闘ダイヤ・カット・ダイヤ』も外せないか」
女上司「忍者と戦う『G戦場のニンジャ』、ゴルゴと特殊部隊の死闘『最後の戦場』……」
部長「コホン」
女上司「あ……」
男「部長……!」
部長「仕事中にゴルゴ13の話とは感心せんな」
女上司「す、すみません!」
男「仕事します!」
…………
……
女上司「今日はお疲れ様ー」
男「お疲れ様です」
男「あれから俺も色々とゴルゴ13を読んでみたんですけど」
女上司「いい心がけね」
男「で、俺なりに“ゴルゴを倒す方法”ってのを考えたんですけど聞いてくれます?」
女上司「聞かせてみて!」
女上司「『極限標的』で実際狙われたけど、スコープの反射光で見抜かれちゃってるね」
男「じゃあ猛毒で……」
女上司「『キャノピーからの使者』で毒で死にかけたけど、失敗してるわ」
男「毒がダメならウイルスで……」
女上司「『病原体・レベル4』でエボラから生還してる」
男「だったら自爆!」
女上司「『フィアレス』で自爆軍団がゴルゴを襲ったけどダメだったわ」
男「じゃあもう核ミサイル!」
女上司「『冥王の密約』では核実験に巻き込まれたけど無事だったし」
女上司「『最終暗号』では本当にミサイル撃ち込まれたけど、ゴルゴは生きてるわね」
男「いっそ宇宙に放逐しましょう!」
女上司「『軌道上狙撃』で、宇宙空間から生還してる」
男「ゴルゴ凄すぎ!」
女上司「他の漫画?」
男「たとえば、ルパンの次元やシティーハンターのリョウ、コブラとか」
女上司「確かにどれも手強いけど、ゴルゴも抜群の人脈や対応力を持ってるから」
女上司「決してひけは取らないんじゃないかしら」
男「あれ? “絶対ゴルゴが勝つ”とはいわないんですね」
女上司「そこまで子供じゃないし」
男「ちなみにドラえもんののび太って早撃ちが0.1秒らしいですよ」
女上司「えっ、0.17秒のゴルゴより早いじゃない!」
男「ゴルゴなら、のび太相手にどう戦うでしょう?」
女上司「うーん……もしかするとしずかちゃんの悲鳴を録音して、のび太君が動揺したところを……」
男「そんなゴルゴは見たくないですね」
女上司「色々あるけど……やっぱり精神力ね」
男「精神力……」
女上司「ゴルゴはたとえ、“自分の一弾が外れれば世界が滅ぶ”って場面でも――」
女上司「いつも通りの狙撃ができると思うんだよね」
男「……」
女上司「ゴルゴみたいになるのは無理でも……そういう人間に私はなりたい」
男「俺もです!」
女上司「乾杯!」
男「乾杯!」
男「ところで、ゴルゴってどんな酒が好きなんですかね?」
女上司「うーん、葉巻は好きなブランドがあったけど……」
女上司「ちなみに『黄金の男』では、ビール飲んだ後運転してた」
男「飲酒運転じゃないですか!」
……
……
男「まあね。ゴルゴみたいなサラリーマンを目指してるから」
同僚「へ?」
男(ゴルゴのように、ゴルゴのように、ゴルゴのように……)
社員「おーい」
男「用件を聞こうか……」
社員「え!?」
男「あ、いやなんでもない……なになに?」
社員「こないだ借りた金返すよ」
男「ああ、スイス銀行に振り込んでおいてくれ……」
社員「ど、どこ銀行!?」
女上司「取引先の人には私から説明するわ」
キビキビ…
男「課長もバリバリ働いてますね」
女上司「まあねー。世界中を飛び回るゴルゴほどではないけど」
男「頬にゴルゴみたいな線も出来てきましたしね」
女上司「ウソォ!?」
男「ウソです」
女上司「有罪(ギルティ)!」シェッ!
男「ゴルゴっぽい手刀やめて!」
部長「君たち二人にこの重大プロジェクトを任せたい」
部長「やってくれるか」
女上司「もちろんです!」
男「課長の手足となって頑張ります!」
女上司「ゴルゴのプロの心得、分かってるよね?」
男「はい、10%の才能、20%の努力、30%の臆病さ……」
女上司「残る40%は?」
男「運です!」
部長「えーと、くれぐれも運任せにはしないようにね」
女上司「まずいわね、このままじゃプロジェクト期日に間に合わない……!」
男「こうなったらゴルゴに出てきた台詞を叫んで気合を入れましょう!」
女上司「そうね!」
男「チチカカ湖はどしゃぶり!」
女上司「雨のサントロペ! 恋のサントロペ!」
男「なんだか気合入ってきました!」
女上司「今の私なら、ゴルゴのサポート役ぐらい出来る気がする! で、最後に死にそう!」
男「死ぬんですか!」
社長「このプロジェクトの責任者は君たちだと聞いている」
社長「よくやってくれた」
女上司「ありがとうございます!」
男「これもゴルゴを見習ったおかげです!」
社長「ゴルゴ……?」
女上司「あ、えーと、これは……」
社長「ゴルゴ13……かっこいいよね。アニメでは舘ひろしが声をやってたけどなかなかよかった」
二人(まさかの社長もファンだった!)
女上司「コラッ、仕事中にゴルゴ13なんて読んでちゃダメでしょ!」
男「あ、す、すみません……」
女上司「だけど……たまにはいいか」
男「ホントですか!」
女上司「ただし13分だけね」
男「うう……13分で読み終えられるだろうか……」
END
よかった
こんな上司が欲しい
引用元: https://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1623409549/
Source: GAMAG
【神】女上司「コラッ、仕事中にゴルゴ13なんて読んでちゃダメでしょ!」