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離職の理由は1on1にあり?働き手の定着率を左右する「キャリア自律」とは【最新調査】

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働き方の多様化に伴い、キャリアについての考え方も多様化している現代。

ジョブ型雇用やフリーランスなどの一般化により、「キャリア自律※1」や「エンプロイアビリティ(雇用される能力)の向上」を重視するビジネスパーソンも増えている。

オンラインプラットフォームの運営や人材派遣、転職支援などのサービスを展開するリクルートは、「企業情報の開示と組織の在り方に関する調査」を実施。第2弾の今回は、人的資本経営に欠かせない「働く個人にとってのキャリア自律」「従業員の人材開発」をテーマに設定し、3つの調査データから分析した。分析の結果を一部抜粋して紹介する。

※1)働く個人が自らのキャリアについて主体的に考え、自らのキャリアに責任を持ち、自らキャリア形成に取り組んでいる状態のこと。

【調査概要】

・個人調査

調査方法:インターネット調査

調査対象:就職活動中の学生、20代~60代の求職者を含む働く個人

有効回答数:1033件

調査実施期間:2024年3月23日~2024年3月25日

調査機関:株式会社マクロミル 

・人事調査

調査方法:インターネット調査

調査対象:採用、人材育成・研修、人事制度の構築や運用を主の業務とする人事担当者

有効回答数:1038件

調査実施期間:2024年3月23日~2024年3月25日

調査機関:株式会社マクロミル

「就業者のキャリア自律・キャリアオーナーシップに関する調査 2023」

 調査方法:インターネット調査 

調査対象:2023年1月時点の19~74歳の就業者・就業意向のある非就業者 

有効回答数:1万1071人

調査実施期間:2023年1月31日~2月6日 

調査機関:株式会社マクロミル

キャリア自律をサポートすると、離職率が低下する?

「キャリア自律・キャリアオーナーシップ」という言葉への印象「キャリア自律・キャリアオーナーシップ」という言葉への印象

「就業者のキャリア自律・キャリアオーナーシップに関する調査2023」において「キャリア自律・キャリアオーナーシップ」という言葉への印象を聞いたところ、全体の約4割が「期待を感じる」「希望を感じる」と回答した。一方、20代の51.5%が「重要な課題であると感じる」と回答。30代では47.5%とやや減っているものの、現状のキャリアに関して課題を感じている人が約半数いることがわかった。

また「不安を感じる」「息苦しさを感じる」「焦りを感じる」という回答も、全体のそれぞれ3割前後を占める結果となっている。

企業の人事担当者からは、「キャリア自律意識を高めると離職してしまうのではないか」と懸念する声もあるかもしれない。

しかし、今回の人事調査では「従業員のキャリア自律意識が高い」と「従業員がイキイキと働いている」「人材は問題なく定着している」が正の相関を示した。「企業規模」の相関係数は0.17で、キャリア自律意識の高さとの相関はあまり見られなかった。

また、キャリア自律の状態について聞いたところ、「私はキャリア自律ができていると思う」という回答は個人調査で全体の24.0%、「自分のキャリアについて支援してくれる仲間がいると思う」という回答はキャリア自律調査で全体の28.1%に留まった。

個人調査で20代~30代(個人調査・n=261)直近の離職理由として「充分なキャリア構築がされないと思った」という回答が54.8%であったことを踏まえると、個人のキャリアを支援することは、むしろ離職率を下げることにつながる可能性がうかがえる。

キャリア対話で「上司の方が多く話す」

アンケートに寄せられた回答の一部アンケートに寄せられた回答の一部

また、人事調査で社内での「1on1キャリア対話」について聞いたところ、「従業員のキャリアに関する対話は基本的には現場の中間管理職にほぼ任せている」に対し人事担当者の42.5%が「あてはまる」「ややあてはまる」と回答。約4割の企業が、従業員一人ひとりのキャリア対話を現場の中間管理職者に任せきりにしている現状が浮き彫りになった。

個人調査では、この中間管理職への重荷が、部下との1on1やキャリア対話の質にも影響を及ぼしていることも示唆された。

個人調査で上司とのキャリア対話の充実度についての回答を見てみると、「上司は仕事だけでなく人生を含めた観点でアドバイスをくれた」(17.5%)、「上司と中長期的なキャリアイメージの対話ができた」(16.8%)という回答はそれぞれ2割未満に留まり、対話の質に大きな課題があることが分かった。

一方で「上司の方が多く話す」(31.2%)、「既存業務が押し付けられる結果となった」(28.1%)という回答がそれぞれ約3割という結果になった。

一見すると離職率の上昇にも繋がっていそうな「キャリア自律」や「エンプロイアビリティの向上」だが、職場環境を整え、働き手一人ひとりの未来に向けたニーズに可能な限り応えることが、かえって定着率の上昇につながるのかもしれない。

多様化するキャリアに対応し、組織が働き手に対して柔軟な対話で応えることができるか否か、またその体制が整っているか否かが、今後の大きな分岐点となりそうだ。

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