東京・明治神宮外苑で6月29日、再開発計画の計画見直しを求めるイベント「SAVE神宮外苑ミーティング」が開かれた。
神宮外苑再開発では、野球場とラグビー場を場所を建て替え、高さ185メートルや190メートルの高層ビルが建てられる。その過程で、高木だけで700本以上、中低木を含めると3000本以上の樹木が伐採される予定だ。
イベントには「神宮外苑を守りたい」という思いを共有する人たちが集まり、再開発の懸念を訴えた。
緑を空を子どもたちが育つ環境を守りたい
神宮外苑再開発の見直しを求めるオンライン署名の発起人で経営コンサルタントのロッシェル・カップさんは、計画の内容は時代に逆行すると語った。
「神宮外苑再開発はビル風や騒音など色々な問題があり、建て替えありきのスクラップ&ビルドなどのやり方も今の時代に逆行するものだと思います」
「神宮外苑だけではなく、日比谷公園、葛西臨海水族園、日本各地の緑地や公園が再開発に脅かされている状況です。私はこれは民主主義の問題だと思います」
建築家で東北芸術工科大学教授(デザイン工学)の竹内昌義さんも、木を切るのではなく増やすべきだと語った。
「気候変動で暑くなっている時に木を切るというのは世界の他の国での再開発ではあり得ない。切るのではなく、木陰を作って歩けるようにしないといけないんです。ニューヨークやパリでは木をどんどん植えている。東京もそう変わっていきたい」
タレントのラサール石井さんは「空が失われる」と強調した。
「鎌倉に住んでいます。鎌倉市は駅前からほとんどが風致地区で15メートル以上の建物は建てちゃいけないんです。だから鎌倉にはホテルがあまりないし、高いビル、商業ビルもないんです。何がいいか。空が広い。パッと見て3分の2が空なんです。これはとても美しいし、心が優雅になる」
「風致地区の第1号は神宮外苑で、15メートル以上の建物を建ててはいけないとなっていた。だから空が広い。ところが2020年に新宿区が東京都の要請で、議会を通さずに風致地区を(規制の)厳しいA地域B地域から、かなり緩いS地域に変えてしまった」
「ここに190メートルのビルが建ってしまう。空がなくなってしまうんです。空や緑は我々にとって財産なんです」
近隣で子育てをしている「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」代表の加藤なぎささんは、住民への説明や対話が十分に行われないまま計画が進められていることへの懸念を語った。
「私たちがこの開発を知ったのは一昨年の12月で、もう何も変えられない、立ち止まれないような状態でした」
「工期は13年にも及ぶそうです。その中で工事の車両もたくさん通ると思います。まちが様変わりした後では、人の流れも変わる、人も増える。その中で子ども達の安心安全、豊かな学びや育ちが守られていくんでしょうか。それを心配するのは親の当然の気持ちだと思うのです。なぜ東京都や事業者にも、そこに寄り添っていただけないのか」
東京都知事選(7月7日投開票)の候補者の一人、蓮舫さんも集会に飛び入り参加した。
蓮舫氏は神宮外苑再開発の見直しを公約に掲げており、29日には「都民投票を実施して声を聞く」と発表した。
イベントでは、都民の声が知事を動かす「東京版民主主義」を神宮外苑でやりたいと述べた。
「都民の声をきちんと聞いて、その民意を背中に受けて、事業者と話す。都民の声が都知事を動かす。新しい東京版民主主義をこの神宮外苑でやりたいと思っています」
「みなさんの思いや考えをしっかり受け止め、今の時代に合わせた形で神宮外苑を守っていきたいと思っています」
神宮外苑は約100年前に、全国から集まった寄付と献木、ボランティア活動によって作られた。
神宮内苑が一般の人が立ち入れない「永遠の杜」になるよう作られた一方で、外苑は誰もが楽しめる公園として、姿を大きく変える東京都心に貴重な緑を提供してきた。
この場所を守りたいと、市民や専門家が計画の見直しを求め続けており、神宮外苑では2023年4月と7月にも、大規模な集会が開かれている。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
神宮外苑再開発で「広い空」が失われる。外苑の集会で市民が守ってと声を上げる