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バーチャルオフィス「ovice(オヴィス)」を提供するスタートアップ「oVice」(石川県七尾市)の薬袋友花里(みないゆかり)さんは、国内外を旅しながら働く「デジタルノマド」だ。
デジタルノマドとは、パソコンやタブレットなどのIT機器を活用し、場所にとらわれず仕事をする人たちのこと。世界に3500万人いるとされ、日本政府も3月31日、デジタルノマド向けの在留資格を新たに創設するなど注目を浴びている。
薬袋さんはこれまで50カ国以上を訪問。デジタルノマドとしても10カ国を訪れ、コワーキングスペースなどで仕事をしながら旅を楽しんできた。
そんな薬袋さんに、ノマドワークしてよかった国を三つ選んでもらった。ポイントは、①仕事の快適さ②旅費③観光の3点。早速見てみよう。
《薬袋友花里さんプロフィール》
東京外語大(中国語専攻)卒業、東大大学院(文化人類学)修了。読売新聞東京本社(編集記者職)、在重慶日本国総領事館専門調査員(経済・経済協力)、日本航空(業務企画職)を経て、2021年2月にoViceに正式入社。国内外を旅行しながら働く「デジタルノマド」として、プレスリリースやブログ記事作成、SNS運用、メディアリレーションなどの広報業務に従事。1987年生まれ。山梨県出身。
「ノマドワークしてよかった国」TOP3
ノマドワークしてよかった国の3位はカナダ、2位はマレーシアだ。
カナダに行ったのは2023年冬。目的はオーロラ鑑賞で、見られる確率を高めるため、1週間滞在したという。滞在先はホワイトホースという都市で、オーロラで有名なイエローナイフは費用面から選ばなかった。
ホワイトホースでの仕事のリズムは、午後(日本時間翌日朝)にoviceに出勤し、夜(同午後)に退勤。それからオーロラ鑑賞に出かけた。
1泊目と2泊目は残念ながら見られなかったが、3泊目の深夜に滞在先の部屋から空を眺めていたところ、うっすらとカーテンのようなものが浮かんだ。急いで外に出ると、瞬く間に白と緑の筋が夜空一面に広がったという。
「オーロラの迫力に感動し、思わず『うぉー!』と絶叫しました。滞在先の周辺は一面雪景色で、特にやることもなかったので、仕事とオーロラ鑑賞に集中できました。ただ、やはり滞在費がほかの国よりかかった印象です」
oViceの同僚2人と行ったマレーシア・クアラルンプールも、デジタルノマドにとっては魅力的な地域だった。
クアラルンプールは3000円台から広々としたコンドミニアムに泊まることができ、実際に滞在したコンドミニアム(4LDK)も清掃料込みで1人あたり5000円だった。街には1日1000円台で使えるコワーキングスペースが複数あり、Wi-Fi環境も整っていたという。
さらに、日本との時差は1時間しかない。日本の勤務時間「午前9時から午後6時まで」に合わせる場合、クアラルンプールでは「午前8時から午後5時まで」になるため、体内時計を合わせるなどの負担はほとんどなかった。
街はまさに「世界が凝縮された場所」。“地元メシ”はもちろん、中華、インド、中東など様々な国の料理を堪能することができた。アプリで簡単にタクシーを呼ぶこともでき、気軽に観光地にも行けたという。
「滞在先のコンドミニアムにはバーやレストラン、ジム、プールがついていて大満足でした。Wi-Fiも問題なく使うことができ、カジュアルに働くことができました。Googleの口コミで『ぶっ倒れるおいしさ』と紹介されていたバクテー屋にも行きましたが、大当たりで2日連続で食べに行きました」
1位は「ノマドの聖地」
薬袋さんが1位に選んだのは、インドネシア・バリ島だ。バリ島は「ノマドの聖地」としても知られており、多くのデジタルノマドが訪れるという。
1人3000円ほどのホテルに宿泊し、外のコワーキングスペースやカフェで仕事をしたが、電源の数も含め、仕事上で困ることは一切なかった。
特に、東南アジア最大級の「スターバックス・リザーブ・デワタ」には多くのデジタルノマドが訪れていた。スタバ近くのコワーキングスペースには、集中して仕事をしたい人向けの「サイレントルーム」や仮眠室も整備されていたという。
心地よい海の音と風に吹かれながらパソコンをたたき、「肩が凝ったな」と思えば、クタビーチから徒歩5分のバリ式マッサージ店へ。90分約2500円と安く、全身マッサージで癒された。
休日にはサーフィンを初体験。カーチャーターも安く、聖なる水が沸くとされているヒンドゥー教の寺院「ティルタウンプル寺院」などにも出かけた。
「Wi-Fi、電源環境が良いコワーキングスペースとカフェ、お得な滞在費、きれいな海や山、独特な文化、治安の良さなど、デジタルノマドにとってはどれも最高でした。マレーシアよりも快適に働ける環境が整っていたので、次は1カ月ほど滞在したいです」
日本で良かったノマドワーク先は?
薬袋さんは海外だけでなく、日本の都道府県でもノマドワークをしている。
例えば、北海道、青森、石川、長野、山梨、静岡、京都、高知、山口、長崎、熊本、鹿児島、沖縄などで、全都道府県を訪れることを目指している。
この中で、デジタルノマドとして最も魅力的だったのは北海道・利尻島だ。
利尻島は、道最北の稚内市の西側に位置する。利尻富士町が募集していた「ワーケーション体験プログラム」を利用し、2022年6〜7月に訪問した。
滞在先は、1泊3000円(当時)の綺麗なコンドミニアム。島内にはカフェや廃校を改装して作られたコワーキングスペースがあり、フェリーを待ちながら仕事ができるスペースもあった。もちろん、Wi-Fi環境は文句なしだ。
名物「利尻昆布」を使ったパスタや「キタムラサキウニ」、ホタテなどが新鮮でおいしく、地域自慢の海鮮から出汁をとったラーメンも絶品だった。
利尻島の北西に位置する礼文島にもフェリーで行くことができ、吉永小百合さん主演の映画「北のカナリアたち」が撮影されたエリアにも訪れた。
「利尻島と礼文島の自然はとにかくきれいでした。仕事をしていてもリラックスできますし、海鮮グルメも絶品。都会の喧騒に疲れたら訪れたくなるような島で、そんな素晴らしい島で仕事ができるなんて最高です。毎年訪れたいと思っています」
薬袋さんは5月6日、ノマドワーク先のニュージーランドから帰ってきたばかり。国内外で経験したデジタルノマド生活の詳細は、自身が執筆しているnote「デジタルノマド生活」でも読むことができる。
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「ノマドワークしてよかった国」TOP3は?1位はノマドの聖地、仕事と観光「どれも最高」