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小学6年生と中学3年生の不登校の子どもを持つ親にとって、頭を悩ませる最後の学校行事である「卒業式」が近づいてきました。
子どもを卒業式に出席させるか否か。それとも親が代理で卒業証書を受け取りに行くか否か。
また卒業アルバムはもらうか否かなど、悩みは尽きません。
今、わが子の卒業式をめぐり悩む親にとって、大事にすべきことが一つあります。不登校の子どもたちの取材を通じて見えてきた大事なポイントをご紹介します。
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新年を迎え、最後の学校行事である「卒業式」が近づいてきます。小学6年生と中学3年生の不登校の子どもを持つ親にとって、卒業式の出席をどうするか、卒業アルバムをもらうか否かなど、頭を悩ませる時期です。
卒業式を控えた今、不登校のわが子の卒業式をめぐり、親として大切にすべきことは、たった一つです。それは「子どもの自己決定」です。その理由について、不登校経験者の声から考えます。
小学生のころからいじめを受けていたAさんは、小学校の卒業式には出たものの、中学3年間はほぼ学校へ行かず、卒業式にも出席しませんでした。Aさんの母親は学校に掛け合い、校長室にて校長と母親を交えた3人での卒業式ができる準備もしてくれましたが、Aさんはそれを断ったのです。
なぜ、Aさんはかたくなに卒業式への出席を拒んだのでしょうか。
学校へ行くことで、いじめの加害者から「なんでいまさら来たんだ」「あいつが来た」など、好奇の目にさらされることが、何よりも怖かったとAさんは言います。他方で、葛藤もあったと言います。母親の配慮による申し出を断ってしまったこと、自分の代わりに卒業証書をもらってきた母親が感動していたことなど、気持ちが揺れ動いたそうです。
大人は「最後の1日ぐらい」と考えてしまいがちですが、いじめにかぎらず、Aさんと同様、学校自体に恐怖感を抱いていたり、周囲の視線を気にする子どもは少なくないと感じています。
子どもに卒業証書を渡すこと、それを受け取る子どもの姿を見ること、そこでほっとしているのはえてして先生や親などの大人です。子どものなかには、そうした周囲の大人の期待に応えるべく、ガマンをする子もいます。ですから、卒業式に出るか否かについては、子ども自身の決定を最優先することがもっとも大切なことなのです。
不登校経験者80人の本音は
本紙では以前、卒業式に関するアンケートを不登校経験者80人に対して実施しました。卒業式の出席者と欠席者双方に、その選択をどう感じているかを聞きました。
出席者の声でもっとも多かったのは「どちらとも言えない」が44%でした。「後悔するのではと思い出席したが周囲の反応に傷ついた」「卒業式を体験できたのはよかったが、居心地がいいものではなかった」などの声があり、一概に良し悪しを割り切れるものではないことがうかがえます。
他方、欠席者の声でもっとも多かったのは、「欠席してよかった」が80%でした。「学校には行きたくなかったので」「学校からは何ももらいたくない」などの声があり、後悔の気持ちなどはないようでした。
不登校と卒業式をめぐり、もっとも大切なことは、先生や親の安堵感ではなく、子どもの納得感です。そのためには、子どもの気持ちを最優先し、子どもの自己決定を何より重んじることが重要です。
もちろん、子どもの気持ちも複雑で、葛藤もあります。卒業式に出ると言っていたのに、直前になって出たくないと言い出すこともあるでしょう。しかし、それはすべて、そのときの子どもの本音です。結論が何度変わろうとも、今この瞬間の自分の意思決定を周囲から大事にしてもらえたという事実は、子ども本人の納得感だけでなく、その後の自己決定においても、肯定的に考え、捉えていけるようになる基礎になると考えます。(小熊広宣)
(2024年1月15日の不登校新聞掲載記事「小6と中3の子どもを持つ親へ 不登校と卒業式で親がもっとも大事にすべきこと【全文公開】」より転載しました)
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
不登校の子どもの卒業式でもっとも大事にすべきこと。小6と中3の子を持つ親へ