1: 通りすがりのコメンテータ空自F-35の基地をオーストラリアへ “遠さ”が武器になる理由 でも法的に問題ないの?
https://news.yahoo.co.jp/articles/ea9aaa5d4ce29a421e5c2a072234bde4094d3aa62023年8月21日(月)から9月2日(土)まで、航空自衛隊がアメリカとオーストラリアへ航空機による機動展開訓練を実施しています。参加するのは最新鋭のステルス戦闘機「F-35A」が4機、空中給油・輸送機「KC-767」が1機、輸送機「C-130」が1機、「C-2」が2機です。
オーストラリア空軍のF/A-18「スーパーホーネット」に乗り込む空幕長
近年、日本はオーストラリアと安全保障上の協力関係強化を推し進めています。今回の訓練も、もともとは2022年12月9日に行われた「日豪外務・防衛閣僚協議(日豪2+2)」の共同声明において合意されたもので、その目的は「安全保障・防衛協力を深化し(中略)より強化された相互運用性を構築する」こととされています。
今回の訓練に関して、航空自衛隊の報道発表には気になる一文も明記されています。それが、「オーストラリア連邦へのローテーション展開及び国外共同訓練を見据えた機動展開能力の向上」という部分です。つまり、航空自衛隊の戦闘機などが今後、オーストラリアへ定期的に展開することになるというのです。その目的とは、いったい何なのでしょうか。
なんでそんな遠くに? それこそが利点
日本からオーストラリアまでは、直線距離にして6000km以上離れています。しかし、その距離が逆に武器になると考えたのだと筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は思います。それは、有事の際の避難拠点です。もし、台湾をめぐって中国軍が軍事侵攻を開始し、その介入を防ぐため日本にいるアメリカ軍や自衛隊の基地を攻撃したとします。この場合、航空自衛隊にとって最悪のケースは、保有する戦闘機や輸送機などを、地上にいる段階で弾道ミサイルや巡航ミサイルで破壊されてしまうことです。
法的な問題はあるのか
こうなると、自衛隊の戦力は一気に低下し、中国空軍の戦闘機に南西諸島上空の優勢を奪われてしまいます。そこで、事前に一定の航空機を中国軍のミサイルが届かない場所に分散退避させておけば、地上で一気に戦力が撃破される心配はなくなります。平時から海外に一定の戦力を置いておくことで、少なくとも開戦時に、中国軍が航空自衛隊の戦力を壊滅することはできなくなります。つまり、オーストラリアは航空自衛隊にとっての聖域として機能することが考えられるのです。こうした動きを見据えてか、日本とオーストラリアの間では近年、双方の航空機同士の空中給油を円滑に行うための「日豪空中給油に関する覚書」や、部隊の相互訪問や相手国内での活動をしやすくする「日豪相互円滑化協定」などが結ばれています。
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