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イギリスで5月6日に行われたチャールズ国王の戴冠式では、君主制に抗議したデモ参加者50人以上が逮捕された。
君主制廃止を求める団体「リパブリック」のグレアム・スミス代表は「平和に抗議活動をする権利はもうイギリスにはない。私は、王は我々の自由を擁護すると何度も聞かされた。しかし彼の名のもとに、私たちの自由は攻撃されている」とTwitterに投稿している。
I’m now out of the police station. Still waiting for my colleagues.
Make no mistake. There is no longer a right to peaceful protest in the UK.
I have been told many times the monarch is there to defend our freedoms. Now our freedoms are under attack in his name.
— Graham Smith 🇺🇦 🏳️🌈 (@GrahamSmith_) May 6, 2023
「基本的な権利に対する直接攻撃だ」
抗議活動では、スミス氏を含めた参加者52人が逮捕され、16時間拘束された後に釈放された。
スミス氏は釈放後「多数のリパブリックのメンバーが、平和で合法な抗議活動の準備をしていた時に逮捕され、終日拘束された」と声明で述べ、警察を強く批判した。
「これらの逮捕は、我々の民主主義と、この国で暮らす全ての人が持つ基本的な権利に対する直接攻撃だ」
「現場で関与したすべての警官は、恥ずかしさで顔を伏せるべきだ。彼らは、判断力も常識も基本的な礼儀も示さなかった。証拠や私たちの行動に関係なく、逮捕することがあらかじめ決まっていたかのようだった」
「イギリスで、平和的に抗議する権利はもはや存在しない。抗議の自由が保障されるかどうかは、閣僚や警察幹部の政治的な決定次第になっている」
「ロンドンではなくモスクワで起きるような行為」と批判
イギリスではチャールズ国王の戴冠式で国中が祝賀ムードに包まれた。しかし、生活費の高騰で多くの人が貧困に苦しむ中で王室に多額の費用が使われていることや、何年も続く王室のトラブルなどを背景に、君主制に対する反発も強まっている。
3月に実施されたイプソスの調査では、共和制を支持する人の割合は1990年代以降最高だった。
一方、イギリスでは戴冠式に先立つ5月3日に、警察による平和的なデモの取り締まりをより強固にする「公共秩序法」が施行された。
そして今回ロンドン警視庁は、抗議活動の参加者たちが、戴冠式を妨害する予定だという情報を元に、52人を乱闘や迷惑行為などの疑いで逮捕した。
メトロポリタン警察のカレン・フィンドレー警視長は逮捕について「人々の懸念を理解していている」としつつ、「法に則った行為だった」と強調した。
「抗議活動は法律で認められている一方で、混乱を引き起こすものでもあります。戴冠式前および最中に、我々は介入せずに数多くの抗議活動参加者を取り締まりました」
「我々は、関連する法律に従い適切に取り締まる義務があります。また、抗議が犯罪に発展し、混乱を引き起こす可能性がある場合に介入する義務もあります」
「これは状況によって異なります。戴冠式が一世一代の行事であることは、重要な判断材料です」
しかし、人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」UK代表のヤスミン・アフマド氏は、「平和的に抗議する人々が逮捕されたことは、非常に憂慮すべき問題だ」と警察の行為を批判した。
「これは、ロンドンではなくモスクワで起きるような行為です。平和的な抗議で、市民は権力者の責任を問うことができます。しかしイギリス政府はますますそのような抗議に反対する傾向にあるようです」
また、リパブリックは声明で「私たちは、『チャールズは私たちの国王ではない。君主制を廃止すべき時が来た』というシンプルなメッセージで、今後も抗議活動を続ける」と述べている。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
戴冠式の抗議デモで50人以上が逮捕「平和に抗議活動をする権利、もうイギリスにはない」