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“未払い残業代200万円超”の私立高に労基署が是正勧告。「長時間労働が当たり前という意識が蔓延」と現職教員

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東洋大学附属牛久中学・高校(茨城県牛久市)が30代の男性教員に違法な時間外労働をさせた上、残業代の多くを支払っていなかったとして、龍ヶ崎労基署(同県龍ケ崎市)から是正勧告を受けたことがわかった。勧告は9月22日付け。

10月19日、同校の運営法人である東洋大学が、ハフポスト日本版の取材に対して勧告を受けたことを認めた。東洋大学広報課は「真摯に受け止めております。当該者(男性教員)への対応につきましては回答を控えさせていただきますが、時間外労働を把握し、適切に管理するなど是正に努めてまいります」とコメントした。

記者会見する東洋大学附属牛久中高の男性教員(右、10月11日午後)記者会見する東洋大学附属牛久中高の男性教員(右、10月11日午後)

未払いの残業代、200万円超との試算

男性教員が加入する労働組合「私学教員ユニオン」(東京都世田谷区)によると、男性教員は2016年から正規の高校教員として同校に勤務。運動部の顧問としての指導や授業準備、そのほかの校務などで、残業が最長94時間に上った月もあったという。同校の残業時間の上限は、36協定で月19時間と定められている。

同校は残業代として、月に約3万円の手当を支給していた。ただ、労組が男性教員の勤怠記録を元に算出した未払いの残業代は、2020年4月〜2023年3月の2年間で200万円以上に上ったという。

「長時間労働が当たり前という意識が蔓延」

10月11日、男性教員は記者会見を東京都内で開き、同校の勤務実態を訴えていた。

2021年5月には精神疾患を発症し、8カ月間にわたり休職したという。「教員は生徒のために朝早くから夜遅くまで働き、休日も部活動や授業の準備のために時間を費やすことが当たり前という意識が学校には蔓延している。学校側も、教員の熱心なボランティア精神ややりがいにつけ込み、過重労働に拍車をかけてきた」と述べた。

その上で、「教員の労働時間が削減され、心身ともに余裕を持つことができれば、教員が本来やるべき仕事にもっと多くの時間を割けるようになり、教育の質の向上につながるはずだ」と訴えた。

記者会見する東洋大学附属牛久中高の男性教員(10月11日午後)記者会見する東洋大学附属牛久中高の男性教員(10月11日午後)

会見に同席した私学教員ユニオンの佐藤学代表は、労基署が勤怠記録通りに労働時間を認定し、今回の是正勧告に繋がったことに着目。公立校教員の場合には法的に残業とみなされない業務も含まれていたことから、「公立だったら労働時間にならない業務が、私学だと労働時間とみなされるというダブルスタンダードが鮮明になった」と指摘した。

その上で、「公立校も含めて、教員の過重労働を抑制し、一般の労働者と同じ枠組みで労務管理していく必要がある」と話した。

〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉

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