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「夏史上最強のホラー」と反響を呼んだアース製薬のインスタとは?

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アース製薬のインスタグラムに投稿された写真たちアース製薬のインスタグラムに投稿された写真たち

殺虫剤などを製造販売する『アース製薬のインスタグラムが、反響を呼んでいます。

617日に投稿を始め、3カ月足らずでフォロワーは37千人を突破しました。

連日の投稿で、真相が少しずつ明らかになる展開に、ネット上では「夏史上最強のホラー」「この企画考えた人天才やん」などと反響を呼んでいます。

◆衝撃の真相が明らかになるストーリー

まずは、投稿を見てみましょう。

最初のころは、「コーヒー飲んでまったりタイム。今日もいい日だ〜☀️」「あたたかくて好きな季節がやってきた~!」といったコメントとともに、優雅なティータイムなど、何気ない日常を思わせる写真が投稿されていました。

ティータイムから数日後には、「友達に呼ばれてちょっとお出かけです!行ってきまーす!楽しみだ!」と投稿。

一見おしゃれな写真ですが、「あれ、撮影の視線低くない…?」とざわつく人も。その後も、じゅうたんやトイレなど、ローアングルからの写真が目立ちます。

投稿者は友人と会えたものの、すぐにはぐれてしまいます。

その後、再会こそできたものの、「なんか意味わかんないくらい大きいバケモノに急に襲われて死にかけたらしい。無理無理無理無理。え、こわっどうしよ。。。」と、友人から聞いた話に怯えた様子。

数日後にはなんと、「#巨大生物」に遭遇。「あれが友達が殺されかけたバケモノか、、マジでやばい。とにかく隠れよう」 

雲行きが怪しくなる中、フォロワーからは「どんどん続きが気になります」「なんだか応援したくなる」といったコメントがつくように。

ひと息休憩。「誰にも見つからなかった!セーーフ!!久しぶりに食べるご飯うますぎる。感謝」と投稿。

添えられているのは、床に落ちたパンの写真…?

「やばいやばいやばい」

ついに、巨大生物に襲われてしまいます。スプレー缶には、見慣れた2文字が…。

「もう僕はだめみたいです。みんな、今までありがとう。最後にうまいもんでも食べたかった」

この言葉を最後に、投稿が途絶えました。

そう。一連のアース製薬の投稿は「もしゴキブリが、インスタグラムをはじめたら 」という設定だったのです。

なぜこんな奇抜な投稿をしたのでしょうか。

ハフポスト日本版は、アース製薬の担当者に取材しました。

◆「虫を写さずPRしたい」逆転の発想

ーーインスタグラムでゴキブリ目線の投稿をしようと思った理由を教えてください。

インスタグラムを始めたのは、ユーザーが20〜40代の女性が多く、アース製薬のコミュニケーションターゲットと一致していることがきっかけでした。

インスタグラムは写真中心のSNSであるため、表現方法は悩みました。アース製薬の商品は虫ケア用品が中心ですが、これまでは虫を直接出さない形でプロモーションを行なってきたからです。特にG(ゴキブリ)は見たくない虫の代表格ですし、その形式が得策だと考えています。

ではどうやって、虫を出さずに虫ケア用品を訴求するのか。逆転の発想から、虫が撮ったという設定で写真を投稿すれば、虫が写ることを抑えられる上に、ユーザーが虫を意識できるのではと考えました。加えて、Gの視点からどんな環境を好むのか、また発生しやすいのかについても伝えることを決めました。

またG目線にすることで、写真は家の中のものが中心になります。虫ケア用品以外にも、生活の中に溶け込んでいる『モンダミン』や『温泡』などの日用品も紹介できると考えました。

ーーアカウントの「中の人」は普段、どんな仕事をしていますか。ゴキブリ目線の投稿を始める上で、注意していることは。

「マーケティング総合企画本部コンシューマーマーケティング部マーケティングコミュニケーション課」に所属し、SNSやWEBサイトの運用、商品のテレビCMやプロモーションを担当しています。

Gに限らず、日頃より害虫全般の勉強をしておりますが、必要に応じて研究部に連絡して情報を得ています。見ている方が不快になりすぎないよう、Gそのものの部位などは出さないように注意しました。

インスタグラムの運用チームとしてG目線の企画を進めるにあたり、Gの習性を学ぶ勉強会を実施しました。「もしもゴキブリがインスタグラムをはじめたら」という設定にしていますので、Gの習性をなるべく忠実に再現しています。最初は人間の投稿だと思わせて徐々にGによる投稿だということを解らせていくストーリーで組み立ています。

Twitterとは運用担当者が違い、方向性も異なっています。今後も別方向で投稿していく予定ですが、Twitterのフォロワーの方のフォローも大歓迎です。

ーーストーリーの細かい設定を、可能な範囲で教えてください。

友達のGが棲みついている「少しお掃除が苦手な男性宅」に遊びに行き、自分もその場所が気に入ったという内容にしています。

ーー投稿する上でこだわっていることを教えてください。例えば撮影している場所は、ゴキブリが発生しやすい場所なのかなと想像しました。

Gは自分の背面と腹面がぴったり付くような、狭い隙間にいると落ち着くと言われています。家具や電化製品を置くと、Gが好む隙間ができてしまうケースが多く、そのような場所を中心に撮影しました。

また、パンやお菓子のかけらひとつであっても、Gにとってはご馳走です。水1滴で3日、油1滴で5日、生きのびることが可能です。そのため、餌の落ちやすい場所や水回りでも撮影しました。

ーー好みの場所だと投稿しているパスタの食べ残し、積み上げている食器やトイレはゴキブリが好む場所というメッセージでしょうか。

はい。当然と言えば当然ですが、Gは人間と比べてカラダが小さいので、少量で生き延びることができますし、雑食なので埃や紙くずなども餌になります。パスタの食べ残しはもちろん、食器のちょっとした汚れもご馳走ですし、水回りにも夜出没して水分補給をします。

ーー大きなバケモノは人間、「#えびの匂い」はゴキブリ対策グッズのことでしょうか?

はい、大きなバケモノは人間を想定しています。隙間や地面にいる30~40mmの彼らからすれば、人間はとても大きく、怖いと感じるのではないかと思います。

また「#えびの匂い」についてですが、設置されている『ごきぶりホイホイ+ デコボコシート』の誘引剤のものです。えび、ビーフ、野菜など、Gが好むキッチンの素材をそのまま再現しているので、そのことを匂わせ投稿しております。

ーー8月31日の投稿では「このGが選択を間違わなければ、別の未来が待っていたかもしれませんが、それはまた別の話」とありますが、続編の予定はあるのでしょうか。

ご想像にお任せいたします。今後の投稿にも注目いただけると嬉しいです。

ーーインスタグラムの開設から3か月たたないうちに、3万人以上からフォローされ、インターネットでも話題になっています。反響について感想を教えてください。

素直に大変嬉しく思っております。インスタグラムはきれいな世界観が投稿されていることが多く、ステキなSNSです。その中でシュールな当アカウントが受け入れられるのかという不安もありつつ、一風変わった視点から何か気付きを得たり、楽しんだりしていただけると嬉しいなと思っています。

これからも、Gが棲みつきやすい環境などの情報や豆知識を配信し、皆さまがGと遭遇しないようサポートができたらと思いますので、今後もフォローいただければ。

<取材・文=佐藤雄(@takeruc10)/ハフポスト日本版> 

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