およそ1ヶ月に及んだ事実上のロックダウンが解除された中国陝西省西安市で、地元政府の要求にネット上で反発の声が生まれている。
中国は春節(旧正月)休みに入るが、西安市政府は1月26日、休み期間中も企業活動を継続するよう呼びかけたのだ。
■「市民の悩みも知らないくせに」
西安市は新型コロナウイルスのデルタ株の流行などを受け、2021年12月23日にロックダウンを開始。全市民約1300万人の外出などが厳しく制限されていた。これまでに累計で2000人を超える感染者が出ているとされていたが、新規感染者がゼロになったとして、1月24日に解除されていた。
2022年の春節(旧正月)は2月1日で、中国では1月末から連休期間に入る。ふるさとの家族と過ごすため、例年、民族大移動とも呼ばれる大規模な帰省ラッシュが起きるが、感染が広がる北京市などを中心に移動自粛が呼びかけられている。
だが、西安市の発表はそれ以上に受け入れ難いものだったようだ。
西安市は1月26日に記者会見を開き、ロックダウン解除後の経済活動再開に向けた指針などを説明。製造や建設業、それに物流などの重点分野で感染拡大防止を継続しつつ、従業員の職場復帰や生産活動の再開へ向けた動きを支援するとした。
その中で、春節期間中においても「仕事や生産を止めないよう、企業に呼びかける」との文言が盛り込まれた。
このニュースは中国のSNS・ウェイボーでトレンド入り。ネットユーザーからは悲痛な叫びが上がっている。
「こんなことをして拍手喝采を浴びるとでも?春節期間に帰省できないだけでも憂鬱なのに、仕事もしろと!働く人の気持ちを考えたことあるんだろうか。春節期間中に働きたくない人は拒否できるの?それとも強制?」
「仕事や生産を続けるのなら、そんなの春節とは呼ばない。『ただの火曜日』でしかないよ(※2月1日は火曜日)。政府は市民の悩みも知らないくせに、追加で働けとはいう。実におかしい」
中国では、春節期間中などの法定休日に出勤した場合、通常の300%以上の給与を支払うと法律で定められている。そのため「政府の『呼びかけ』が収入に反映されるかどうかが大事だ」などという投稿も見られた。
■死産に批判、副首相が謝罪する事態に
西安市では、ロックダウン期間中から市民の不満が噴出していた。2022年1月1日には、妊娠8ヶ月の女性が腹痛を訴え市内の病院を受診しようとしたが、有効なPCR検査の結果を持っていなかったとして入り口で2時間待たされ、お腹の子が死亡した。
ネット空間では病院側の対応に批判が相次ぎ、孫春蘭(そん・しゅんらん)副首相が「深く恥じている」と謝罪する事態になった。
また、西安市在住のジャーナリスト・江雪(こう・せつ)さんは「長安十日」という文章を発表し、食糧が満足に行き届いていない現状などを訴えた。文章は「本質的には人による災難」と地元政府を批判し、その後削除された。
オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「旧正月休みも仕事続けて」ロックダウン解除の西安で政府が呼びかけ ⇒ 市民激怒「拒否できるの?」