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「若いのにすごいね」は“死語”だと思う。2022年、SDGsは必ずU30のゲストと考えます。

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「若いのによく考えてるね、と散々言われてきたけど、若い“から”考えてるんですよね」

取材中、10代の女性から出た言葉にハッとしました。

「これから先、私たちはまだまだ生きていかなきゃいけない。地球や社会システムの危機は、自分たちの人生の危機そのものなんです」。

この言葉は、私の頭の中に宿題のようにずっと残り続けてきました。

社会の中で弱い立場に置かれたり、いびつな社会構造の“しわ寄せ”を受けたりしている存在や問題を明らかにし、当事者の声を広く届けていく、というのはメディアの役割の一つです。であるならば…。これからの世界の当事者である若者の声をもっと届ける“装置”であるべきではないかーー

こうした課題意識から、2022年、SDGsをテーマに配信するネット番組「ハフライブ」では、各回のゲストに30歳未満の若者を1人以上呼ぶ「U30プロジェクト」をはじめることにしました。

U30プロジェクト

10代・20代が、企業の意思決定層や専門家と対等に意見を交わし、お互いをジャッジすることなく会話できる場をつくっていきます。

これは、使命感だけのプロジェクトではありません。制作者、ひいては視聴者の“役に立つ”と思ってもいます。

台湾のデジタル担当大臣オードリー・タンさんはかつてハフポストのライブイベントで、若者の声を聞く重要性を次のように訴えました

「20人以上のリバースメンター*と20人以上のインターン、合わせて40人以上の(若い)人たちが、毎年私たちに社会の方向性や、向かうべき道を示してくれます」(オードリー・タンさん)

※通常、年長者や先輩から受ける「メンタリング」を、ひっくり返し(リバース)、若者が年長者をメンタリングする。台湾では大臣が35歳以下の若者をリバースメンターとして任命する制度がある。

“そうするべきだし、そうしたい”。

そんな思いではじめる「U30プロジェクト」。2021年1月から実施している、番組出演者の女性比率をあげる「50:50プロジェクト」と並行して達成を目指していきます。

パートナー企業の皆さんと制作するスポンサード・コンテンツの番組については、本プロジェクトの対象に含みませんが、偏見を強化させやすいメディアの負の側面などに引き続き留意し、出演者の多様性を重視したコンテンツ作りを進めます。若い世代とのコラボレーションも一層進めていきます。

若者に対する「勉強してから言え」の声

U30プロジェクトの根底にあるのは、日本の若者の「自分には可能性がある」と感じる自己効力感の低さです。

日本財団が2019年に9ヵ国の若者を対象に調査したところ、「自分は責任がある社会の一員だと思う」と答えた日本の若者は44.8%。「自分で国や社会を変えられると思う」と答えたのはたったの18.3%。いずれも他国に比べて極端に低い数字となりました。

10代の「国や社会に対する意識」

日本の大人が子どもを過剰に「子ども扱い」し、極端に言えば「下に見ている」ことによって、若者の自己効力感が削がれてはいないでしょうか。

例えば、Z世代の気候変動アクティビストに対してSNSでは「もっと勉強してから発信した方がよい」「怒りで(何かを)変えようとするのは子どものやり方」などのコメントが多数寄せられます。

ハフポスト日本版が2019年11月に実施した読者アンケートでも、10代が社会に関心を持ち意見を言うことについて、次のような意見がありました

「10代は未だ発展途上。意見を発信する前に様々な意見を聞き、様々な体験をし、本を読み…自らを磨くことこそ第一義。発信しても良かろうが、それはあくまでも発展途上の未熟な意見であることを自ら意識すべき(50代・男性)」

「意見の表明・発信自体は悪いことではないが、それに伴う責任を考えると両手を挙げて賛成しかねる(30代・男性)」

“良かれと思って”の意見かもしれません。しかし、地球環境や経済システムのあり方に劇的な変化が求められる今、経験に基づく年長者のアドバイスと同じくらいまた、将来世代の意見や意思は欠かせないものだと捉えるべきではないでしょうか。

「どうせ言っても意味がないし…」と次世代に思わせる大人のままでいいのでしょうか。

U30プロジェクトを通して、「聞くべき声がここにある」と多くの方に思ってもらえると嬉しいです。

「若者の声を聞け」の何が新しいの?

若者の声を聞こうという提案は特段新しいものではない、と思う方もいるでしょう。流行やトレンドに敏感な若い世代に注目することで、大ヒット商品やサービスが生まれてきた例は数えればキリがありません。

しかしその多くはマーケット調査のために行われるもので、ビジョン構築や経営戦略策定のために行われるものではなかったのではないでしょうか。

そこに変化が起き始めています。自社の目先の利益だけでなく、持続可能な会社や社会のあり方が模索される中で、経営の「中」に若者の視点を入れる取組みをはじめる企業があります。

バイオテック企業「ユーグレナ」が18歳以下の公募から選ぶ「CFO(Chief-Future-Office=最高未来責任者)」は、会社と社会のサステナビリティを考え、実践することがミッションだといいます。初代CFOの小澤杏子さんは環境問題への関心から、同社が製造販売する飲料のペットボトル全廃を掲げ、実行しました。

ユーグレナ社初代CFPの小澤杏子さん(右)と、2代目CFOの川﨑レナさん(左)

さらに、商業施設のマルイやエポスカードで知られる丸井グループは2021年11月、中長期的な企業価値向上を目指して、社外有識者で組織している「アドバイザー」制度に、上記の小澤さんと、95年生まれのスタートアップ経営者である渡辺創太さんという2人の若者を選任しました。

また、IT大手のサイボウズが2021年3月、社内公募の結果、新卒1年目の社員を取締役に選出したことも話題になりました。

いずれも“経営の真ん中”に、Z世代の価値観を吹き込むための取り組みです。流行に敏感だから若者の声を聞くのではなく、持続可能な組織のあり方を考える上で、彼女ら彼らの価値観が不可欠だから声を取り入れる。ビジネスの潮流はそのようにシフトしてきています。

冒頭に紹介した、オードリー・タンさんをはじめ台湾の閣僚が実践している「リバースメンター制度」も、そうした流れに先行したものと言えるのではないでしょうか。

台湾のデジタル担当大臣のオードリー・タンさん

わざわざ宣言することの意味

実は、ハフライブではこれまでも意識的にU30ゲストに出演してもらってきました。

2021年、SDGsをテーマにしたハフライブ(「カレンダーから考えるSDGs」シリーズ)では、全12回の配信で計7人のU30ゲストが出演しました。メインパーソナリティの辻愛沙子さんも20代の一人です。

彼女ら彼らに共通していたのは「資本主義はこのままでいいのか?」という痛烈な問いかけ。そして、言い方やニュアンスに違いこそあれ、「日本独自のアプローチがあるはずだ」と口々に話すことに、毎回驚かされました。

今回、すでに実践してきたことをわざわざ宣言するのは、もっとU30ゲストの発言に注目して欲しいという思いと、目標を掲げて宣言することが、「ひっそりやる」よりも良い結果をもたらすことを実感しているからです。

ハフライブでは昨年のはじめに、番組出演者の女性比率を増やすことを目的とした「50:50プロジェクト」を宣言しました。

ハフライブ「50:50プロジェクト」

ジェンダーギャップが深刻な日本社会において、メディアに出演する専門家やオピニオンリーダーが男性に偏りがちな状況を変えたいという思いでした。

それ以前から出演者の女性比率についてかなり意識していたつもりですが、宣言前年の2020年のハフライブでは、全ゲストのうち女性比率は通年で4割程度。

それが2021年は通年で約6割という結果になりました。

番組制作者が50:50を念頭におくことで、新たな女性の有識者やビジネスリーダーとの出会いに繋がり、視聴者にその存在を知ってもらうことができました。

また、パートナー企業とともにスポンサードコンテンツを作っているメンバーは、相手先企業や広告代理店などあらゆる協業先に対してビジョンの共有を行いました。

明文化し宣言することは、手間もかかるし勇気がいることでもあります。しかし、これこそまさに私たちの「SDGsアクション」です。

一見、実現不可能にも思える高い目標である「SDGs」。あるべき未来から逆算して今やるべきことを考える「バックキャスティング発想」で設計されています。

50:50プロジェクトやU30プロジェクトは、世界のあり方を根本から見直すべき局面に立っている私たちが、メディアの立場から実践できるバックキャスティングでもあるのです。

大きな目標に向かってできることから少しずつ歩むハフライブに、今後もぜひご注目ください。

(文:南 麻理江 / デザイン:髙田ゆき)

◆今年もハフライブはSDGsについて月一で発信していく予定です◆

ハフライブ制作班(篠塚健一 @kenichi8881 中田真弥 @nMaya_huffpost   中村かさね @Vie0530 湯浅裕子@hirokoyuasa 吉田遥 @haryunn0916   南 麻理江 @scmariesc

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オリジナルサイトで読む : ハフィントンポスト
「若いのにすごいね」は“死語”だと思う。2022年、SDGsは必ずU30のゲストと考えます。

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